決算発表が本格化!成長期待の中小型株6選
決算発表が本格化!成長期待の中小型株6選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2025/05/15
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
※YouTubeに遷移します。
決算発表が本格化!成長期待の中小型株6選
東京株式市場では、米政権による関税政策を巡る懸念が後退。日経平均株価は、5/13(火)時点で、米関税発動前の3月下旬以来の水準まで回復しました。
足元では、3月決算銘柄の本決算発表シーズンが佳境を迎え、主力大型株では選別物色が広がっているようです。中小型株では、東証スタンダード市場の中でも製造業などは、為替変動(円高進行見通し)の影響や、米関税政策の影響などが業績見通しに影を落とした企業が複数見受けられました。東証グロース市場は、米関税政策による影響度が少ないとされるサービス業や情報通信などの非製造業が多く、4/7(月)(日経平均株価の足元安値)~5/13(火)の騰落率は+29%と、東証プライム市場指数の同+21%、東証スタンダード市場指数の同+17%と比較しアウトパフォームしました。
今回の「新興株ウィークリー」では、3月決算銘柄を対象に好業績および今期(26.3期)の業績見通しも堅調さが見込める銘柄を抽出してみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
① 東証スタンダード市場、もしくは東証グロース市場に上場
② 時価総額が100億円以上
③ 売買高移動平均(25日)が2万株以上
④ 3月に決算期末を迎えた銘柄
⑤ 25.3期の通期決算発表を5/12(月)までに実施済み
⑥ 期初会社予想の売上高より、25.3期売上高が5%以上上振れ
⑦ 期初会社予想の経常利益より、25.3期経常利益が10%以上上振れ
⑧ 株価騰落率(4/7~5/13)がプラス
⑨ 26.3期の会社予想売上高が前期比で増収見通し
⑩ 取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載は、26.3期の通期売上高の前期比増収率が高い順です。
【参考】 5/2(金)~5/13(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表が本格化!成長期待の中小型株6選
コード | 銘柄名 | 株価 (5/13・円) |
26.3期会社予想 増収率(前期比) |
株価騰落率 (4/7~5/13) |
3850 | エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート | 3,245 | 100.6% | 33.5% |
5285 | ヤマックス | 1,428 | 56.4% | 29.8% |
9029 | ヒガシホールディングス | 1,406 | 41.9% | 33.7% |
7906 | ヨネックス | 2,306 | 39.2% | 16.1% |
6777 | santec Holdings | 4,735 | 29.1% | 38.0% |
2924 | イフジ産業 | 2,000 | 27.0% | 12.0% |
- ※Quick Workstation Astra Managerデータ、会社発表データをもとにSBI証券が作成。
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■ヤマックス(5285)~熊本地盤のコンクリート二次製品メーカー。TSMC、防衛、人手不足等が追い風?
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■熊本地盤のコンクリート二次製品メーカー
熊本市に本社を構えるコンクリート二次製品総合メーカーです。コンクリート二次製品は、生コンクリートを成型した製品を指します。地面の下の「土木」、地面から上の「建築」の両方でコンクリート二次製品を取り扱っている会社は「日本全国でほとんどない」(会社資料より)とのことで、両方を取り扱っていることが強みです。
「現場打ち」と呼ばれる現場製作のコンクリートに代わり、専用工場であらかじめ部材を製造し現場で組み立てる「プレキャスト(PC)工法」を早くから重視してきたことが特徴の一つです。
売上構成比(25.3期)は、土木用セメント製品が69%、建築用セメント製品が27%となっています。土木用セメント製品は、道路脇の側溝、スーパー駐車場の縁石、川沿いの護岸など、日常生活に溶け込んだ製品を幅広く提供しています。
建築用セメント事業では、たとえば現在の高層ビルの外壁材として主流の「プレキャストカーテンウォール」などを、東京、大阪、福岡等の大型ビルなどに納入しています。
■TSMC、防衛、人手不足等が追い風?
会社側は5/8(木)取引時間中に25.3期の通期決算を発表。売上高234億円(前期比12%増)、営業利益27億円(同50%増)と増収増益、売上と各利益が2期連続で過去最高を更新しました。
同社が得意とするプレキャスト工法は決して新しいものではなく、すでに多くの業者が手掛けています。ただ、時間外労働の上限規制適用を受け、人手不足が懸念される「建設業の2024年問題」もあり、改めて有効活用が期待されています。
世界的半導体大手である台湾のTSMCが熊本県菊陽町に建てた第1工場(2024年12月に量産開始・総投資額1兆円)では、プレキャスト工法を用いた床材の納入に成功しました。大規模工場の建設や周辺のインフラ整備、住宅建設等が増えたことも追い風でした。さらに、2024年度に防衛省当初予算が17%増となった追い風を受け、防衛省関連事業が増えたことも業績拡大に寄与しました。
■今後も堅調な業績拡大に期待
26.3期は売上高245億円(前期比4%増)、営業利益30億円(同9%増)、EPS(1株利益)222.84円、1株配当66円(前期比8円増)が会社計画です。
国土交通省の2025年度当初予算は前年度比横ばいですが、プレキャスト工法の推進が活発化しそうです。埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、国土強靭化に向けた動きも続きそうです。また、防衛省の2025年度当初予算は前年度比9.7%増であり、防衛施設関連の好調持続も期待できそうです。
地元である熊本県では、TSMCの大規模工場に続き、半導体関連企業の集積に伴い、工場用地の整備や道路等のインフラ整備等、コンクリート二次製品の需要は堅調に推移しそうです。また、TSMCは第二工場の着工も2025年内に計画されています。
5/13(火)終値1,428円および前記した会社予想EPS、同1株予想配当(年間)から計算される予想PERは6.4倍、予想配当利回りは4.6%です。また、25.3期末ROE(自己資本当期利益率)は25.2%と高めです。株価が出直る可能性に期待したいところです。
■ヨネックス (7906)~バドミントン用品の世界的大手。今期は5期連続の最高業績を更新予定
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■バトミントン用品の世界的大手
スポーツ用品メーカ。特にバドミントン用品は世界最大級のシェアを誇ります。
種目別売上高構成比(25.3期)は、バドミントン用品が62.4%、テニス用品が14.8%、その他はウェアなどです。
■海外売上が7割超。アジアでの販売が増加
地域セグメント売上高構成比(25.3期、スポーツ用品事業)は、中国を中心としたアジアが49%、海外代理店向けを含む日本が42%、北米が5%、ヨーロッパが4%です。さらに、実際に商品が販売された地域(=仕向地)に基づく売上高構成比(25.3期)では、海外売上高が全体の約72%を占めており、アジア地域が全体の57%を占めています。
中国は、国を挙げてトレーニングシステムが整備されたバトミントン強豪国です。中国での売上成長率が高く、全体をけん引しています。中国には、2000年頃に本格的な販売進出を行い、2010年に現地法人を設立。その後、広告宣伝や草の根の販促活動を行い認知度向上に注力しました。機能性の高さ等が人気を博し、2021年には、中国代表チームと用具使用契約を締結。高価格帯製品で当初は販売を伸ばしていましたが、現在は幅広い価格帯の製品販売が増加しています。
中長期ビジョンのグローバル成長戦略では、東アジア以外での販売比率の増加を掲げています。テニスの競技人口の多い北米や、バトミントン市場拡大が見込まれるインドが重点地域です。
■今期は5期連続の最高業績更新&増配実施予定
25.3期の業績は、売上高1,382億円(前期比18%増)、経常利益139億円(同14%増)で4期連続となる増収増益を達成し、過去最高を更新。パリ五輪および国際大会の開催のほか、スポーツ市場の全体の活性化などが寄与しました。今期(26.3期)の業績見通しは、売上高1,480億円(前期比7%増)、経常利益146億円(同4.5%増)と引き続き最高業績を更新する見通しです。また、堅調な業績および見通しに伴い、配当も今期(26.3期)で5期連続となる増配を実施予定です。
成長持続に対するリスク要因としては、円高などを挙げており、スポーツ市場の活動は引き続き活発に推移するとみています。アシックス(7936)※12月決算や、ミズノ(8022)も前期に過去最高業績となり、今期も更新する見通しで、スポーツ用品市場では活況が続いているもようです。
株価は現在、過去最高値水準に位置しており、2月半ばにつけた取引時間中高値2,626円が意識されています。
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