警戒感漂う相場で光る!?2025年の隠れテーマ株は?
警戒感漂う相場で光る!?2025年の隠れテーマ株は?

投資情報部 栗本奈緒実 鈴木英之
2025/09/04
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
※YouTubeに遷移します。
警戒感漂う相場で光る!?2025年の隠れテーマ株は?
9月相場に突入しました。9/1(月)の米株式市場は、はレイバー・デー(Labor day)で休場でした。夏季休暇の最終連休にあたり、米国では新年度に向けての区切りの日と言われており、この日以降に相場の流れが急変するというアノマリーがあります。
日米ともに主要株価指数は最高値水準に位置しており、9/5(金)に予定されている米8月雇用統計の発表に対し身構えている状態です。7月雇用統計では、3ヵ月連続で非農業部門雇用者数の伸びが減速しました。今回も数値が弱含みとなり米労働市場の軟化が示された場合、景気への懸念から株売りにつながることも想定され、市場では警戒感が漂っています。
足元の経済指標の発表に神経質な展開となる中、今回の「新興株ウィークリー」では今一度中長期の投資テーマを掘り下げていこうと思ます。
政府は企業のDX人材の育成を進めるため、2026年秋に個人のデジタルスキルを登録するプラットフォーム「スキル情報基盤(仮称)」を立ち上げると報道がありました(2025年8月30日 日本経済新聞 『DX人材100万人登録、官民で情報共有へ 人手不足解消へ政府が基盤』)。
政府がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する背景には、少子高齢化に伴う人手不足への対応も大きな課題の一つとして意識されています。実際、日本では2025年1~6月の出生数が33万9,280人と、1969年以降で上半期として過去最少を更新しました(厚生労働省「人口動態統計速報」)。外国人労働者を除けば、国内の労働力人口は今後も減少が見込まれており、人手不足は長期的な投資テーマと位置づけられます。
今回は、「自動化」や「省人化」、「RPA(「定型業務の自動化ツール)」など人手不足解消に関する単語をキーワードとし、関連銘柄を探してみました。
スクリーニング条件は、以下の通りです。
①東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場
②1営業日当たり平均売買高(過去25日)が2万株以上
③各種資料・報道等から、「自動化」「省人化」「RPA」と関連性があるとみられること
④前年度の営業利益、経常利益、純利益が1億円以上
⑤今期会社予想の売上高と営業利益が増収増益
⑥取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
今回紹介する銘柄は上記条件を全て満たしています。人手不足解消との関連性は、ポイント欄に記載しました。掲載は、銘柄コード順です。
【参考】 8/26(火)~9/2(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄
【銘柄一覧】警戒感漂う相場で光る!?2025年の隠れテーマ株は?
| コード | 銘柄名 | 株価 【9/2・円】 |
ポイント |
| 3850 | エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート | 3,795 | 社内の申請~承認の“流れ”を作るワークフロー/BPMと、単純作業を自動化するRPAをつなぐ機能「IM-RPA」を提供 |
| 6149 | 小田原エンジニアリング | 2,397 | モーター巻線機の全自動ラインシステムで世界トップ級シェア。人手作業の削減に貢献する装置メーカー |
| 6226 | 守谷輸送機工業 | 5,070 | 主力の荷物用エレベーターは倉庫・工場内での垂直搬送を自動化し、人手に頼っていた荷物の移動作業を効率化 |
| 6227 | AIメカテック | 3,900 | 先端半導体パッケージ向けの省力化に寄与する量産対応装置を提供 |
| 6405 | 鈴茂器工 | 1,591 | 「寿司ロボット」のパイオニア。「おむすび」や「ご飯盛り付け」ロボットなど飲食現場の省力化装置メーカー |
- ※会社発表データ、Quick Workstation Astra Managerデータ、各種報道等をもとにSBI証券が作成
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■小田原エンジニアリング(6149)~「巻線機」分野で世界トップ級企業。創業来、モーター組立工程の省力化、自動化に注力
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■「巻線機」分野で世界トップ級企業
モーターとは、鉄の芯に細い銅線をぐるぐる巻きつけて作られる部品です。電気を回る力(動力)に変える仕組みで、車・家電・工場の機械・医療機器・パソコンやテレビなど、電気で動くほとんどの製品に入っています。
小田原エンジニアリングは、モーターを作るときに必要な、銅線を自動で巻いてコイルを作る機械(=巻線機)のメーカーです。さらに、巻く前の準備から、巻いた後の組み立て・検査までをまとめた生産ライン一式も提供しています。このような「巻線機」に関しての分野で世界トップ級のシェアを有しています。
モーター製造は、従来人手コイルを巻く工程が多く、熟練工の不足が課題の一つでした。同社は創業来、モーター組立工程の省力化、自動化に取り組んでいました。
足元では、xEV(EVだけでなく、ハイブリッド・プラグイン・燃料電池車なども含めた電動車全般)向けモーター需要増により、全自動巻線ラインの案件増加が業績に寄与しています。企業名を含めた取引先情報は基本的に非公開です。ただ、売上高の10%以上を占めた際は開示の必要があります。17.3期以降、主要な顧客として社名が挙がったことのある会社名は、世界的EV大手の「テスラ」や、EVシフトのための大規模投資を行っている「フォードモーター」、グループ中核の自動車部品メーカー・日立Astemoの中国子会社などの大企業です。また、受注制のため、業績がQごとにぶれやすいという特徴が注意です。
■財務も良好。株主還元の強化にも期待
25.12期2Q末(25.6末)時点で、長短借入金はゼロの無借金経営です。約5年に一度のペースで、工場の増築や新工場の建設などの大型投資を行っていますが、投資/現金比率は20~30%程度余力を残しています。特別配当を継続的に出しているものの、配当性向は前期(24.12期)が32%、前々期(23.12期)が18%と抑制的です。そのためか、PBRは0.78倍(9/2時点)と割安水準に位置しています。株主還元の強化につながる施策の実施等も株価上昇の材料となり得るでしょう。
■業績進捗好調で、株価は一段高。上方修正に期待広がる
25.12期2Q(累計)の業績は、売上高103億円(前年同期比123%増)、営業利益20億円(同337%増)と大幅増収増益を達成。従来の会社計画に対し、売上高及び各利益項目の全てが上振れました。通期会社計画数値は「現在精査中のため修正していない」旨が記載されています。通期会社計画数値に対する2Q時点の進捗率は、売上高59%、営業利益85%と修正期待が望める高水準な実績のため、同決算発表後の株価は一段高となりました。
割安水準に位置する中、株主還元の強化や、製造工程の「省人化」需要の増加に伴う継続的な業績成長を示すことができれば、さらなる上昇局面入りに期待できるでしょう。
■守谷輸送機工業 (6226)~荷物用エレベーター中心。高い収益力を誇る
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■荷物用エレベーターで国内シェア3割超
1950年3月に創業。荷物用エレベーターを主力に、自社ブランドのエレベーターの設計・開発・製造・据付・保守・修理・リニューアルまでをワンストップで提供しています。
売上高(25.3期)の53.7%は「製造・販売」で、荷物用を中心に各種エレベーターの製造・販売を行っています。そのうち、新設が80%、入替等が11%、船舶用が9%を占めています。
荷物用エレベーターについては、省スペースの実現や、質実堅牢なモノ作り、幅広いラインナップが差別化要因となっているようです。2023年度に国内で新規に設置された荷物用エレベーター(1,346台)に占める当社のシェアは30.8%(会社調べ)でした。
売上高(25.3期)の46.3%は「保守・修理」となっています。この分野は顧客のビジネス機会を最小限に抑制する迅速さ、確実な復旧能力が求められます。365日24時間対応のサービス拠点、コールセンター配備、専門人材の対応等が、後発企業への参入障壁になっています。
国内荷物用エレベーター保守台数に占める当社シェアは15%程度と推定(24.3期・会社発表データ)されていますが、過去10年でシェアは5pt程度上昇しているようです。
■EC市場拡大、「保守・修理」成長で業績は安定成長傾向
国内物販系分野のEC市場が2014年以降の10年、年率8.9%で成長(会社資料)しており、それに伴って倉庫・物流施設の需要が堅調に推移し、荷物用エレベーターの市場拡大に寄与しています。当社は近年、高価格帯製品へのシフトに注力しており、さらに売上高を押し上げています。
なお、エレベーターの新設は当社にフロー収入をもたらしますが、保守・修理契約締結によってストック収入につながるビジネスモデルです。近年は保守・修理が売上高に占める比率が上昇傾向で、業績成長に安定性をもたらしています。
上記市場成長等も寄与し、業績は順調に拡大中です。19.3期以降25.3期まで、売上高は前期比での増収が継続。経常利益も資材価格高騰・円安が響いた23.3期を除き、18.3期から25.3期まで増益が続いています。
26.3期は売上高227億円(前期比16%増)、営業利益42.5億円(同3%増)、経常利益43.3億円(同3%増)が会社計画です。8/7発表の1Q(25.4~6月期)業績は売上高51億円(前年同期比21%増)、営業利益12.5億円(同50%増)経常利益12.7億円(同48%増)と順調なスタートとなりました。将来の売上高につながる受注残は前期末比6.2%増と、こちらも順調なもようです。中期計画では27.3期に売上高250億円、営業利益45億円を目標として掲げています。
株価は1Q決算発表後に上昇が加速。8/19に過去最高値5,230円を記録しました。予想PERは日経業種別PERの機械の単純平均15.96倍を大きく上回る30.5倍(9/2)まで評価されていますが、ROEは27.6%で、機械の平均7.7%を大きく上回る高い収益力を有しています。
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1日約定代金合計額で変わる手数料体系では、100万円以下で無料、100万円超~150万円以下で880円、150万円超~200万円以下で1,100円、200万円超~300万円以下で1,540円、以降100万円単位超過ごとに295円ずつ加算され、上限はございません。ただし、強制決済の場合には約定代金×1.32%の手数料(最低手数料2,200円)が適用されます(いずれも税込)。
また、信用取引においては、手数料は無料ですが、買方金利、貸株料、品貸料(逆日歩)、信用取引管理料(事務管理費)等の諸費用が必要です。
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