金利上昇にも強い?キャッシュリッチの中小型株5選

金利上昇にも強い?キャッシュリッチの中小型株5選

金利上昇にも強い?キャッシュリッチの中小型株5選

投資情報部 栗本奈緒実

2025/09/18

金利上昇にも強い?キャッシュリッチの中小型株5選

9/16(火)、日経平均株価は史上初となる45,000円を突破する場面もあり、東京株式市場は盛り上がりを見せています。米テック株の上昇を引継ぎ、半導体関連株がけん引役となりました。主力の半導体関連大型株や、出遅れ割安株などが物色される一方で、中小型グロース株のパフォーマンスは軟調でした。9/16(火)時点での1ヵ月リターンは、東証プライム市場指数+1.96%、東証スタンダード市場指数+2.66%に対し、東証グロース市場指数は▲2.18%となりました。

9月第3週は日米で中銀ウィークを迎えます。日本時間9/18(木)に結果発表予定の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、0.25%利下げ予想が市場コンセンサスで、ほぼ確実視されています。同9月会合は、四半期に1度となる参加メンバーの政策金利予想である、ドットチャートが公表されます。また、そのため、足元の労働市場の弱含み等を踏まえ、ドットチャートが下方修正された場合、米長期金利低下による株高の可能性も考えられるでしょう。

一方、9/19(金)の日銀金融政策決定会合では、5会合連続で政策金利の据え置きとなるとの見方が大方です。自民党総裁選を控え、国内政治情勢は短期的に先行き不透明感が強まっていることや、米経済指標が弱含んでいることなどを踏まえ、日銀は慎重にならざるを得ないといった状況です。ただ、年内や翌26年年初での利上げは、引き続き予想が織り込まれています。時期こそ特定は難しいですが、物価の粘着性や金融政策の正常化の流れを踏まえれば、日銀はいずれ利上げに向かう公算が大きいです。

そのため、今回の「新興株ウィークリー」では、国内金利の上昇局面でも耐性があるキャッシュリッチな銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

・東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

・時価総額が100億円以上

・売買高(25日移動平均)が2万株以上

・直近通期の海外売上高構成比が10%以下

・長期借入金/短期借入金の倍率が1倍以上

・有利子負債/自己資本が10%以下

・ROICが10%以上

・ネットキャッシュ/時価総額が30%以上

・流動比率が200%以上

・直近通期実績でいずれの利益項目にも赤字がない

・取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

今回紹介する銘柄は上記条件を全て満たしています。掲載は、ネットキャッシュ/時価総額が大きい順です。

【参考】 9/9(火)~9/16(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

【銘柄一覧】金利上昇にも強い?キャッシュリッチの中小型株5選

コード 銘柄名 株価
【9/16・円】
ネットキャッシュ/時価総額 ROIC
6249 ゲームカード・ジョイコホールディングス 3,165 83.1% 11.0%
6356 日本ギア工業 790 41.9% 12.1%
6378 木村化工機 1,045 39.5% 10.5%
9753 アイエックス・ナレッジ 1,426 38.5% 13.4%
4420 イーソル 531 30.4% 14.5%
  • ※会社発表データ、Quick Workstation Astra Managerデータ等をもとにSBI証券が作成

一部掲載銘柄を詳細に解説!

日本ギア工業 (6356)~歯車製品の専門メーカー。受注増・好財務で、株価は年初来高

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■歯車製品の専門メーカー。高シェア製品も

歯車製品の専門メーカーです。

産業機械用の精密歯車や、ジャッキ昇降装置、「バルブアクチュエータ」を製造しています。「バルブアクチュエータ」は同社の主力製品です。これは、配管のバルブ(弁)を自動で開け閉めする装置で、発電所や下水道、鉄鋼などあらゆる産業で使用されています。日本の原子力発電所においてのシェアは90%以上に上ります(同社HPより)。

売上高構成比(25.3期)は、歯車装置が70%、歯車が5%。残りの25%は、製品の据付やメンテナンスを行う工事事業です。同事業は、安定的な収益源である一方、検収までのリードタイムが長い点が特徴です。

■直近業績は軟調だが、受注増・好財務で、株価は年初来高

足元の業績計画は軟調気味です。今期(26.3期)会社計画は、売上高93億円(前期比3%減)、経常利益20億円(同3%減)と減収減益の見通しです。

一方、市場全体の成長トレンドを踏まえると、政策面等から今後の製品需要は増加が期待されます。

原子力発電は、安全最優先で再稼働の方針は継続されており、バルブアクチュエータを含むバルブ駆動装置の需要増加が見込まれています。国土交通省によると、令和4年度末時点で下水処理場の機械・電気設備が標準耐用年数15年を経過した施設が約9割と、老朽化が進行しているもようです。直近では全国的に大きく報じられる道路陥没事故などもあり、今後も計画的な水道施設の維持管理や更新が求められています。


足元では、1Q(25.4-6月期)時点で34億円(前年同期比39%増)、受注残高が59億円(同29%増)と積み上った格好です。火力発電所、石油・ガス向けの製品がけん引役となりました。

財務面(25.3末時点)では、銘柄一覧の掲載事項以外では、流動比率が約520%と、理想水準と言われている200%を大きく上回っています。さらに、DEレシオ(有利子負債/自己資本)は1%未満、ネットキャッシュが約44億円と、借入に依存しないキャッシュリッチ企業と呼べる水準です。

受注高の積み上げによる今後の業績成長期待と、良好な財務面での下支えもあり、7月末の1Q(26.4-6月期)決算発表以降、株価は右肩上がりに推移しました。9/16(火)には年初来高値を更新し、2015年以来の高値水準まで上昇。今後は受注残の消化ペースなどがモメンタム維持の鍵となりそうです。

イーソル (4420)~高度なリアルタイムOSを独自開発・販売。借入金ゼロでキャッシュリッチ

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

高度なリアルタイムOSを独自開発・販売

1975年の創業来、「リアルタイムOS」技術を中核としたソフトウェアプラットフォーム製品の開発・販売をする企業です。


一般的なPCやスマホのOSが「速さ」重視なのに対し、RTOSは「決めた時間内に必ず処理する」ことを最優先とします(例:自動車のエアバッグ制御、工場ロボット、医療手術ロボットなど“遅れが許されない”用途)。

直近(24.12期)の売上構成は自動車が約47%。デンソー、ホンダなどが主要取引先で、自社開発の「eMCOS」は自動運転・ロボティクスのように高いリアルタイム性が必要な領域で採用が進んでいます。

同社が注力するのは「SDV」です。SDVとは車両の機能や性能をソフトウェアで定義し、スマホのようにアップデートできる車のことを指します。自動車の生産台数は横ばい見通しですが、自動車生産台数に対するSDV比率予想は、25年3% → 30年20% → 35年67%と増加が見込まれています(同社決算発表資料より)。

■借入金ゼロでキャッシュリッチ。安定的な収益源あり

同社は自社のOSやソフトのライセンス販売を行っているため、一度作れば追加コストが少ないままで、何回でも売れます。
そのため、一般的な受託型ソフト会社と比較すると、利益率が高くなる傾向です。また、自動車業界は製品のライフサイクルが長く、一度採用されると継続利用となることが多いため、安定的な収益源となり得ます。

今期(26.3期)会社計画では、売上高127億円(前期比6%増)と過去最高更新見通しですが、経常利益は9億円(同19%減)と、減益となる見通しです。主因に持分法適用関連会社の解消を挙げており、通常事業領域においては実質的な成長が継続すると会社側は説明しています。

今期中間(25.1-6期)決算では、業績が会社予想に届かなかったものの、下期へのスライドなどによるものとして、通期会社計画は据え置かれました。

研究開発費の増加などから22.12期-23.12期は2期連続となる営業赤字となった過去もありましたが、財務面は健全です。前期(24.12期)末時点で長短借入金はゼロ、対してネットキャッシュは約32億円とキャッシュリッチといえる状態です。また、ROICは14%超と、金利上昇局面においても、資本コストを上回る収益力を維持できる力があると考えられます。

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