半導体株は“連れ安”か?AI需要でメモリーひっ迫、押し目買い候補を探る
半導体株は“連れ安”か?AI需要でメモリーひっ迫、押し目買い候補を探る

投資情報部 鈴木英之
2026/03/30
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
日本株投資戦略
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半導体株は“連れ安”か?AI需要でメモリーひっ迫、押し目買い候補を探る
■半導体関連銘柄は連れ安か?
東京株式市場は不安定な状態が続いています。日経平均株価は2/27(金)に過去最高値58,850円を付けましたが、3/23(月)には一時51,000円を割り込みました。2/28(土)に米国とイスラエルが、イランの最高指導者であるハメネイ師を殺害し、両陣営が戦争状態になっていることが大きな要因です。いまだ戦争終結につながる確固たる動きは出ていませんが、一部では事態打開を図るような動きも出始め、3/25(水)・3/26(木)には一時54,000円台を回復しています。
このように、中東情勢の混迷が続く一方で、AI(人工知能)を中心とする技術革新や社会の変化は続いているとみられます。AIの発展を支える半導体市場も、データセンター向け需要が盛り上がり、メモリーなどは歴史的な品不足になっています。ただ、AIや半導体に関連する銘柄も、イラン情勢の悪化を受けて株価が下がっている銘柄が多いようです。典型的な「連れ安」とみられ、押し目は買い場になっている銘柄もありそうです。
■歴史的な急騰を演じているメモリー価格。しかし株価は調整局面
半導体市場で、投資家から熱い注目を浴びているひとつが「半導体メモリー」です。そのうち、一時的な記憶をつかさどる「DRAM」とデータ格納に使う「NAND型フラッシュメモリー」が有名です。
AIを使った様々な情報サービスが生まれ、それを可能にするデータセンターやAIサーバーが建設ラッシュとなっています。そうした中でAIを動かすGPU等の半導体への需要が急拡大し、それとともに動くDRAMの需要も急拡大しています。特に最先端で、DRAMの一種であるHBM(広帯域メモリー)への需要が急拡大し、DRAMメーカーがその生産を優先した結果、その他のDDR4/DDR5といったDRAMの種類も品不足を起こすことになりました。
コロナ直前のDDR4/DDR5の価格は1個あたり数ドル程度でしたが、2026年には50ドルを超える価格まで急騰しています。DRAMの世界的大手企業は韓国のサムスン電子、SKハイニックス、米国マイクロン・テクノロジー等ですが、最先端のHBMではSKハイニックスの勢いが目立っています。
なお、DRAMほど急激な価格変化ではないですが、NAND型フラッシュメモリーも高騰しています。韓国サムスン電子やキオクシア(285A)等の大手企業が増産に慎重なうえ、リソースがDRAMに集中しやすくなっていることも影響しています。
「半導体メモリー」関連銘柄は当面、メモリー価格高騰の恩恵を受けそうです。ただ、「異常」ともいえる価格高騰は、AI周辺企業以外の民生用電子機器や自動車業界等ではコスト高要因となるうえ、メモリーを十分に調達できないといった事態に陥りかねません。3/27(金)の日本経済新聞では、メモリーの需要を削減できる「グーグルの新技術」が紹介されていましたが、過度な品不足解消につながるならばむしろ、メモリーの健全な需要喚起につながる前向きな材料になるでしょう。ただ、こうした技術が実現されるまでは時間を要すとみられ、2026年~2027年のメモリー価格高騰観測を背景に、半導体メモリー関連企業への追い風は続きそうです。
今回の「日本株投資戦略」では、半導体関連、特に「半導体メモリー」関連銘柄にスポットを当ててみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
・東証プライム市場に上場
・半導体メモリーを製造、またはメモリー製造企業への売上高が全社売上高の10%(前期)を超える銘柄(※1)
・予想EPSを公表しているアナリストが2名以上
・来期市場予想営業利益(Bloombergコンセンサス)が今期予想に対して増益見通し(※2)
・取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
(※1)メモリー製造企業は、DRAM世界シェア上位3社(サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジー)とNAND型フラッシュメモリー世界シェア上位3社(サムスン電子、SKハイニックス、キオクシア)とします。
(※2)3月決算銘柄の場合、「今期」は2026年3月期、「来期」は2027年3月期とします。
掲載銘柄は上記条件をすべて満たしています。掲載の順番は、「来期市場予想営業利益」を「前期営業利益」で割った増加率が大きい順です。
【銘柄一覧】 半導体株は“連れ安”か?AI需要でメモリーひっ迫、押し目買い候補を探る
| コード | 銘柄名 | 株価 (3/25・円) |
今期予想 営業増益率 |
来期予想 営業増益率 |
投資のポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 285A | キオクシアホールディングス | 22,445 | 72.3% | 309.0% | 東芝をルーツとするNAND型フラッシュメモリー第3位。価格高騰を受け市場では2027年3月期営業利益3兆円超を予想 |
| 6857 | アドバンテスト | 23,425 | 100.0% | 40.0% | 半導体テスターで世界シェア58%(2024年)、AI半導体向けでは圧倒的。メモリー向けは韓国サムスン電子向けが多い |
| 6871 | 日本マイクロニクス(12) | 10,990 | 34.7% | 15.7% | 半導体製造前工程のウェハーテストに使われる消耗品(プローブカード)の大手企業。サムスン電子向けが売上高の半分弱 |
| 6055 | ジャパンマテリアル | 1,769 | 26.2% | 7.5% | 半導体・液晶工場が止まらないようにライフラインを支える縁の下の力持ち。ストック型ビジネス。キオクシアが最大手の顧客 |
| 8035 | 東京エレクトロン | 40,360 | -13.1% | 34.8% | 世界的な半導体製造装置大手。フォトレジスト(感光剤)の塗布や現像を行う「コータ・デベロッパ」は世界シェア92%(2024年) |
| 6920 | レーザーテック(6) | 33,410 | -14.5% | 17.9% | フォトマスク、その元となるマスクブランクスの検査装置。EUV露光装置対応では独占的存在。メモリーはサムスン電子向けが多い |
| 6254 | 野村マイクロ・サイエンス | 2,908 | -57.7% | 84.6% | 半導体製造の洗浄工程で用いられる超純水装置を製造。超純水に特化し、オルガノ等と差別化。サムスン電子向けが多い |
- ※会社公表データ、Bloombergデータ等をもとにSBI証券が作成。
- ※予想営業増益率は、Bloombergコンセンサスをもとに計算。
- ※銘柄名右横カッコ内の数字は決算月で、カッコ付数字のない銘柄は3月決算銘柄。3月末決算銘柄は3/27(金)が権利付最終日ですのでご注意ください。
一部掲載銘柄を解説!
■アドバンテスト(6857)~AI向けで圧倒的なシェア
◎半導体テスターのトップ企業
半導体テスターのトップ企業です。テスターは半導体製造工程で複数回、製品に欠陥があるかどうか検査を行う装置です。これまで、米テラダイン(TER)と市場のシェアを二分してきました。半導体テスター市場の当社世界シェアは、2017年の36%から、2024年には58%と拡大傾向で、当社の存在感が増しています。AI(人工知能)向け半導体のテスター市場では圧倒的なシェアを有しています。AI半導体最大手であるエヌビディア(NVDA)は、GPUに台湾TSMCのパッケージ技術を採用していますが、同技術の半導体テスター市場ではシェア8割と推測されています。
AI向け半導体は複雑かつ高価であり、歩留まりや信頼性を上げるために、多くのテストが行われるようになっています。複数機能を1つのチップに集約したSoC(システム・オン・チップ)向けが、半導体の複雑化を背景に旺盛な需要が見込まれます。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)・AI向け半導体の数量増加・複雑化を受け、半導体テスト需要は好調に推移しています。
2025年3月期の大口販売先は台湾TSMC(売上高の12.3%)、韓国サムスン電子が10.6%になっています。
◎市場では2027年3月期も大幅増益を予想
1/28(水)に発表された2026年3月期第3四半期(2025年4月~12月期)決算では、営業利益が3,460億円(同110.8%増)と好調持続。同四半期の上振れを背景に、2026年3月期通期の会社予想営業利益は3,740億円→4,540億円(前期比99%増)に上方修正されました。
2025年10月に自社株買い計画を発表。2026年1月末時点の進捗率は以下の通りです。
・取得可能株数 1,800万株(発行済株数の2.5%)に対して8.9%
・取得価額上限 1,500億円に対して同22.52%
・取得予定期間 2025年11月から1年間
3/26時点の市場予想営業利益(Bloombergコンセンサス)は、2026年3月期4,562億円(前期比100%増)、2027年3月期6,387億円(前期比40%増)です。
■キオクシアホールディングス(285A)~NAND型フラッシュメモリーで「世界トップ級」
◎2018年に東芝グループから独立。サンディスクグループとの合弁を合わせれば世界トップ級
NAND型フラッシュメモリー(※)の製造大手企業です。フラッシュメモリーは大容量のデジタルデータを記録・保持できる半導体メモリーで、電源を切ってもデータが消失しない「不揮発性」が特徴です。設立母体である東芝が1987年に「NAND型フラッシュメモリー」を発明し、次第に用途を拡大し、デジタル社会を支える基盤材料として日々重要性が高まっています。2018年に東芝グループから独立し、2019年に現社名に変更し、2024年に東証プライム市場に上場しました。
フラッシュメモリー自体に加え、同メモリーを用いた次世代記憶装置であるSSD、メモリーカード等が製品です。「NAND型フラッシュメモリー」の市場シェアは同社単独では、サムスン電子、SKハイニックスに次ぐ第3位グループとみられます。しかし、米サンディスクグループとの製造合弁企業があり、それを合わせると2025年3月期の市場シェアは29%と世界トップ級(同社「統合報告書」)となっています。
製造合弁先であるサンディスクグループの他、アップルグループ、デルグループ等が大口取引先になっています。2025年3月期の海外売上高比率は85.7%に達します。
※キオクシアは主力製品について「フラッシュメモリ」と表記していますが、当レポートでは新聞表記の「フラッシュメモリー」に統一しています。
◎独立以来の最高業績に
半導体メモリー事業は需給や価格の変動を背景に、損益の浮き沈みが相当大きいのが特徴です。コロナ期のPC・スマートフォン販売の好調が剥落し、2023年3月期と2024年3月期は合計で3,500億円を超える営業赤字を計上しました。しかし2025年3月期に入り、生成AIの発展を背景としたメモリー需要の回復とともに、特にデータセンター、エンタープライズ向けSSDの売上が拡大し、同年度の営業利益は4,517億円と、2018年の「独立」以来の最高業績となりました。
2026年3月期は、NAND型フラッシュメモリーの価格でみると後半にかけて価格上昇力が強まる展開になっています。営業利益は第1四半期(2025年4~6月期)は448億円(前年同期比64.3%減)、第2四半期(同7~9月期)は859億円(同48.3%減)でしたが、第3四半期(同10~12月期)は1,427億円(同16.3%増)と増益に転じました。同四半期は売上高の55%を占める「SSD製品およびメモリー製品等」が大きく伸びたことが貢献しました。2026年3月期第3四半期累計(2025年4~12月期)では営業利益2,735億円(前年同期比3.4%減)となりました。
会社側ガイダンスでは2026年3月期の営業利益は7,095億円(前期比57.1%増)~7,995億円(同77%増)となっています。2026年に入りNAND型フラッシュメモリーの価格はさらに上昇しており、十分視野に入っている水準とみられます。2027年3月期の市場予想(Bloombergコンセンサス)では実需の増加と価格高騰を背景に、大幅増収増益が見込まれています。営業利益は3兆円を超えてくるというのが市場コンセンサスです。ただし、価格の高騰について市場では、DRAMに比べNAND型フラッシュメモリーの見通しは相対的に緩やかである点は注意しておく必要がありそうです。
◎上場来高値からの下落率が一時2割を超える
株価は2/13(金)に24,420円の上場来高値を形成した後は下落局面となりました。3/27(金)の取引時間中には、上場来高値からの下落率が一時2割を超えました。(1)イラン情勢の混迷に伴う株式市場全般の下落、(2)主要大株主の株式売却、(3)新技術の登場に伴う半導体メモリーの需給悪化懸念等が要因です。
(2)について、足元では大株主の持分が確かに減少しています。2025年9月末現在の筆頭株主であった東芝は3/26報告時点で18.52%に減少し「その他関係会社」に該当しなくなりました。ベインキャピタルは2026年に持分の売却を進め、持株比率は3/25報告時点で27.42%となっています。大株主の売却は確かに需給悪化要因ですが、キオクシアの経営自由度はいっそう増すことになりそうです。
(3)については既述したように、メモリーの需要を削減できる「グーグルの新技術」がNAND型フラッシュメモリーを含むメモリーの需要を脅かすと捉えられたことが要因です。しかしこの下落要因には「市場の誤解」もあるようです。グーグルの「TurboQuant」が削減を目指すのは「推論」用のHBM/DARMとみられ、学習や記憶用は対象外とみられます。むしろ、メモリー消費の効率化でAIの普及が加速化し、データ保存需要が増えれば、中長期的なNAND型フラッシュメモリーの需要を押し上げる効果が期待出来そうです。
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