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大幅増益・上方修正期待の8銘柄

大幅増益・上方修正期待の8銘柄

大幅増益・上方修正期待の8銘柄

投資情報部 鈴木 英之 髙田 航輝

2026/05/14

大幅増益・上方修正期待の8銘柄

東京株式市場が堅調に推移しています。日経平均株価は3月末終値51,063円72銭をボトムに、その後上昇基調を強め、5/7(木)には62,833円84銭と、終値ベースで過去最高値を更新しました。3月に比べてイラン情勢に対する不安が後退傾向にあることに加え、米国で半導体関連銘柄を中心にハイテク株が買われたことも追い風となりました。しかし、パフォーマンス面では指数間で格差が生じています。3/31(火)~5/12(火)の上昇率は以下の通りです。

  • 日経平均株価:22.8%
  • TOPIX:9.8%
  • 東証スタンダード市場指数:5.9%
  • 東証グロース市場指数:18.3%
  • TOPIXバリュー:8.7%
  • TOPIXグロース:12.9%

半導体・AI関連銘柄が引き続き物色の中心になっています。米国で半導体・AI関連中心の相場が続いていることもありますが、決算発表で半導体・AI関連の好調が目立っていることも追い風になっています。

こうした中、東京株式市場では決算発表が進捗しています。人気業種でなくとも、好決算をテコに上昇する銘柄も出ており、決算発表チェックは投資パフォーマンスをあげるためにも重要であると考えられます。

ちなみに、東証スタンダード市場または同グロース市場に上場する2,154銘柄(5/11時点、Bloombergベース)のうち3月決算銘柄が社数で半分弱となっています。現在進捗している決算発表は、3月決算銘柄の場合は「本決算」で、2026年3月期の実績と2027年3月期の会社計画が発表されます。決算発表直後に大幅増益計画を発表した銘柄は素直に買われるケースが増えそうです。ただ、新しい年度が始まったばかりで、株価上昇につながりやすい「会社計画の上方修正」は少し先になると考えられます。

なお、新たに業績が発表された2026年1~3月期は12月決算銘柄の第1四半期、9月決算銘柄の第2四半期に相当します。ここで大幅増益を達成した銘柄は、比較的近い将来に通期会社計画の上方修正期待が高まると考えられます。今回の「新興株ウィークリー」では、6月、9月、12月決算銘柄を対象に、2026年1~3月期業績が大幅増益となり、今期の上方修正期待が高まっている銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。

今回のスクリーニング条件は以下のとおりです。

1.東証スタンダード市場または東証グロース市場に上場

2.時価総額が1,000億円未満

3.5/11(月)時点における直近20営業日の1日当たり平均出来高が2万株以上

4.2026/4/20(月)~5/11(月)に決算発表を終了した6月、9月、12月決算銘柄

5.直近四半期(2026年1~3月期)の営業利益が前年同期比で黒字転換、または10%以上の増益

6.同四半期の純利益が前年同期比で増益

7.信用規制・注意喚起銘柄を除外

図表に掲載している銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載順については、2026年1~3月期の営業利益について、前年同期比の増益率が高い順(ただし黒字転換優先)としています。



【銘柄一覧】大幅増益・上方修正期待の8銘柄

コード 銘柄名 株価
【5/12・円】
2026年1~3月期営業増益率 今期会社予想
営業増益率
4286 CLホールディングス 1,213 黒字転換 21.1%
2693 YKT 355 黒字転換 黒字転換
4772 SM ENTERTAINMENT JAPAN 93 452.6% 42.8%
2489 アドウェイズ 285 126.0% 102.0%
4463 日華化学 1,779 35.4% 9.2%
4012 アクシス 1,689 34.0% 12.6%
4475 HENNGE(9) 1,016 25.1% 14.7%
6223 西部技研 2,290 21.8% -11.0%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄横カッコ内の数字は決算月を示します。数字がない銘柄は12月決算銘柄です

一部掲載銘柄を詳細に解説!

HENNGE4475)~ クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」。ゼロトラストへの需要増が追い風

◎クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」。ゼロトラスト関連銘柄

クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」等を提供している会社です。

同サービスは、会社で使用されるMicrosoft 365やGoogle、Salesforceなど多数のクラウドへの入り口を、一つにまとめながら、安全を守るサービスです。230超のSaaSに対応し、導入前後の手厚いサポートも強みとして挙げています(同社HPより)。

東証上場企業の同社サービス導入数は18.8%、導入企業数は3,731社(2026年3月末:2025年9月末比304社増)に上り多様な業種・業態での導入実績を有します。

現在、民間企業をはじめ、官公庁でもゼロトラスト化が推進されています。従来のセキュリティシステムは、社内ネットワークに入れさえすれば信頼する境界防衛型が主流でした。しかし、クラウドの利用や在宅勤務が普及し「社内=安全」が成り立たなくなり、一度侵入されると内部で自由に動かれてしまうリスクが増えました。「ゼロトラスト」は「使用するたびに確認を求められる仕組み」で、社内ネットワークに入った後もずっと見張りがあるようなイメージです。
官公庁・自治体のゼロトラスト化は今後も進む見通しで、サイバー防衛の強化を重視する高市氏の路線とも整合しています。同社のようなIDaaS(ID管理をクラウドで提供するサービス)を提供する企業は、官公庁・自治体・企業の共通インフラ的ポジションになりやすい構成です。中央官庁での導入事例は明確に提示されていませんが、自治体での導入実績を複数有しているようです。

◎収益性の向上維持に期待

トップラインである売上高は前期(2025年9月期)まで8期連続で2桁台の増収を達成しています。

5/7(木)に発表された2026年9月期第2四半期(2025年10月~2026年3月)決算では、売上高61.2億円(前年同期比17.7%増)、営業利益12.6億円(同13.3%増)でした。契約企業数や同ユーザー数が堅調に伸び、安定的な収益を背景とする年間経常収益(ARR)は119億円(前年同期比14.7%増)となりました。それに対し平均月次解約率は2026年1月~3月期に0.26%まで低下(2024年に0.54%まで上昇)しており、収益の安定的拡大に寄与しています。2026年9月期(通期)は売上高128.3億円(前期比17.5%増)、営業利益20.5億円(同14.7%増)が会社計画です。2029年9月期に年間経常収益(ARR)200億円を目指しています。

株価は2021年に5,305円の高値があり、その後2022年3月に648円まで下落しましたが、2025年には1,949円まで回復しました。足元の株価は1,000円前後で推移しており、「SaaSの死」が強く影響した可能性もありそうです。ただ、予想PERは20倍前後の水準まで低下し、東証グロース市場の42.35倍や東証プライム市場の20.25倍(ともに11/12時点)からみると、足元で増収増益が続いていることを考えれば割安感が強まっています。企業の信用につながるセキュリティが単純にAIエージェントに置き換わるか否かは不透明とみられ、「SaaSの死」に関する市場の懸念が行き過ぎと考える投資家にとっては、魅力的なバリュエーションといえるかもしれません。

■日華化学(4463)~繊維加工用薬剤の老舗企業」から半導体関連銘柄に?

◎繊維加工用界面活性剤の世界的企業

日華化学は福井県本社の化学メーカーです。化学品事業と化粧品事業を手掛けています。2026年12月期第1四半期(2026年1月~3月)の売上高構成比は化学品事業が76.8%、化粧品事業が21.9%です。

化学品事業では主力の繊維加工用界面活性剤のほか、高付加価値製品や電子材料関係、機能化学品を展開しています。

繊維加工用界面活性剤は衣服や生地を作る工程で使われる薬剤で、染色をする、撥水の機能を付けるなどの目的があります。身近なものに例えると、洗濯に使う柔軟剤のイメージです。

化粧品事業では美容師と連携してヘアケア剤、ヘアカラー剤など独自の処方を生み出しています。一見、衣服とは異なる分野に思えるのですが、毛髪も衣服と同じ繊維であり長年培ってきた繊維部門の技術が生かされています。

両事業ともに海外展開を積極的に進めており、9つの国や地域に16拠点を持っています。2025年12月期通期の売上高海外比率は48%になっています。

◎業績と株価の動き

4/30(木)に発表された2026年12月期第1四半期(2026年1月~3月)の連結決算では売上高は150億1,700万円(前年同期比13.8%増)、営業利益は11億5,900万円(同35.4%増)でした。四半期ベースで売上高、営業利益が過去最高を更新しました。化学品事業で高付加価値製品の売上高、利益率が増加し業績向上に寄与しました。会社の通期業績予想を売上高585億円(前期比5.0%増)、営業利益42億円(同9.2%増)としているため第1四半期の通期に対する進捗率は売上高で25.6%、営業利益では27.5%でした。売上高営業利益率は7.7%(前年同期は6.4%)となり、利益率も改善しています。

中東情勢が不透明な状況でもあり、先行きについて予測困難なため、2026年12月期通期の会社予想は据え置きとなり、上方修正などはありませんでした。年間配当予想も70円で据え置きとなりました。ちなみに、年間配当の70円(前年比10円増配)に関しては6期連続の増配で、株主還元を強化しています。

第1四半期の決算発表は取引時間中の15時に行われ、好決算を受けて大きく上昇し、5/1(金)には1,921円まで買われました。しかし、5月に入ってからは株価を下げることが多く、5/12(火)の終値は1,779円になっています。

◎注目ポイントと今後の展開

注目ポイントは「バリュエーション」と「事業内容」です。

まずバリュエーションですが、5/12(火)時点で2026年12月期連結の予想PERは10.14倍、実績PBRは0.8倍となっており割安な水準であると考えられます。東京証券取引所は2023年3月にPBR1倍を下回るプライム・スタンダード全上場会社を対象に、資本効率の改善を意識した経営を要請しています。PBRを上昇させるために増配、自己株式取得を通じて資本効率の改善を行うことは株価にとってプラスの材料になります。

一方で株価が割安な水準のまま推移していることに疑問も残ります。その理由として同社は成熟産業の繊維加工用薬剤メーカーとしての印象が強く、AI・半導体などのハイテク産業のような強烈な成長をイメージしにくいからと考えます。着実に利益を積み増してはいますが、昨今のAI・半導体関連主導の株価上昇に追い付いていないのではないかと思われます。

ここで「事業内容」に注目していきます。繊維加工用薬剤が主力ですが同社も半導体関連銘柄としての一面があります。2015年に完全子会社化した大智化学産業は半導体シリコンウェーハ用水溶性クーラント剤を手掛けています。日華化学のWEBサイトによると、半導体シリコンウェーハ用水溶性クーラント剤は世界シェアトップのようです。この分野が利益に大きく寄与するようになると、日華化学のイメージは半導体関連銘柄へと変化し、物色の対象になりそうです。

リスクとしては中東情勢悪化による原材料高騰の長期化、海外売上比率が高いため為替の変動が挙げられます。また時価総額が比較的小さい銘柄であり、流動性が低く株価が上下に振れやすい点にも注意が必要です。

同社の株価は5/12(火)時点で年初来14.5%上昇しています。しかし、バリュエーションは依然として低い水準にあり事業内容も変化していることから投資妙味があると考えています。

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