企業の重要な情報を知ることのできる立場のある者(上場会社の役職員や大株主などの会社関係者や情報受領者等)が、 重要事実等の情報の公表前に、その情報を利用した証券取引のことをインサイダー取引と言います。 「投資家保護」「証券市場の信頼確保」を目的として、このような取引を金融商品取引法で厳しく規制されております。 違反行為者には5年以内の懲役もしくは500万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方に処せられます。
会社関係者のうち登録が必要な内部者とは
- 上場会社の取締役、会計参与、監査役若しくは執行役(以下役員という)
- 上場会社の親会社又は主な子会社の役員(親会社・子会社とは有価証券報告書等に記載された企業集団を指します)
- 上記1,2の役員でなくなった後1年以内の者
- 上記1の役員の配偶者及び同居人
- 上場会社の幹部職員(課長等の管理職以上、顧問、相談役等)
- 上場会社の親会社・子会社の幹部職員(部長等の管理職以上)
- 大株主(上位10位以内または3%以上保有)
- 発行会社とその親会社、または子会社において重要事実を知り得る可能性の高い部署に所属するもの(経理部・企画部等)
- 上場会社の親会社または主な子会社と顧問契約等を締結しているもの(公認会計士、弁護士等)
- 上記以外のお客様に対しても当社が内部者登録と必要と判断した場合は内部者登録をお願いする場合があります。
(重要)役職等変更の場合
例えば
1.管理職(課長職等)になられた場合
2.役員に昇格された場合
3.大株主になった場合など
必ず当社へメールまたは電話でご連絡をお願いいたします。
重要事実とは
重要事実とは、会社の株価に重大な影響を与えると想定される会社情報のことをいい、法令で細かく規定されています。
重要事実は「決定事項」「発生事実」「決算事実」「その他」に分類され、さらに上場会社にかかる重要事実と上場会社の子会社にかかる重要事実に分類されます。
分類 | 重要事実の項目例 | 数値基準 |
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1.決定事項 | 株式の募集 | 募集払込金額の総額1億円以上 |
自己株式の取得 | すべて重要事実 | |
株式分割 | 分割比率1:1.1以上 | |
業務提携 | ||
合併 | ||
新製品、技術の企業化 | ||
2.発生事実 | 業務遂行の過程で生じた損害 | 損害額が純資産の3%以上 |
債権者による債権の免除 | 免除額が債権総額の10%以上 | |
3.決算事実 | 業績の大幅な修正 | |
売上高 | 変動率10%以上 | |
経常利益 | 変動率30%以上かつ変動額が純資産の5%以上 | |
当期利益 | 変動率30%以上かつ変動額が純資産の2.5%以上 | |
4.その他(バスケット条項) | 上記1.から3.のほか上場会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって、投資家の投資判断に著しく影響を及ぼすもの | |
5.子会社にかかる重要事実 | 上記1.から4.に対応するもの子会社の情報であっても、企業集団全体の経営に大きな影響を与えるものは重要事実 |
重要事実の公表とは
「公表」には、一般的には3つの方法があります。
- 上場会社等が重要事実を一般紙やNHKなど、法令で定められている2つ以上の報道機関に公開してから12時間の周知期間が経過すること。
- 上場会社等が上場する金融商品取引所等に対して重要事実を通知し、金融商品取引所において内閣府令に定める電磁的方法により公衆縦覧に供されること。
- 重要事実に係わる事項が掲載された有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書等が公衆縦覧に供されること。
インサイダー取引事例
- 飲食店で隣に居合わせた上場会社の社員から同社の売り上げが前年比20%以上伸びていることを聞いて、その事実が公表される前に同社の株式を買付けた。
- 上場会社を半年前に退任した元役員は、かつての同僚から今期利益が30%ほど落ちる話を聞き、その事実が公表される前に持ち株を売却した。
- 夫は上場会社の社員であるが、最近夫から画期的な新製品開発の成功を聞いた。そこで妻は自分名義でその事実が公表される前に夫の会社の株式を買い付けた。
- 上場会社の子会社に勤務する社員は最近親会社の新薬開発成功の話を会議の中できいた。その社員はその事実が公表される前に上場している親会社の株式を買い付けた。
重要
発行会社の役員または主要株主が発行会社(自己株)の株式を売買した際は「役員主要株主売買報告書」の提出が必要となります。また内部者登録された方が自社株の売買を行った場合には「委託注文書」を入れていただく必要があります。