テクニカル分析の基本を学ぶ
テクニカル(チャート)分析は過去の株価データなどを基に今後の値動きを予測する分析手法です。大きく分けて、株価の上昇・下落基調をみる「トレンド系」の分析と、買われ過ぎ・売られ過ぎといった観点から投資タイミングを探る「オシレーター系」の分析の2つがあります。
過去の株価などを基に将来の値動きを予測するのがテクニカル分析です。ここでは、株価チャートに用いられる「ローソク足」と、「トレンド系」と「オシレーター系」のテクニカル分析の例を説明します。
いずれのテクニカル分析も投資判断を助けるものではありますが、100%予想が的中するものはありません。投資を行う際には、必ずご自身の判断と責任で行う必要があります。
ローソク足
株価を時系列に表示するチャートには様々な種類がありますが、中でも始値・高値・安値・終値を同時に表示できるローソク足が頻繁に利用されています。一定期間の最初の取引価格を【始値】、最も高い取引価格を【高値】、最も低い取引価格を【安値】、最後の取引価格を【終値】として、1本の棒状の図形を時系列に添って並べます。一般に、ローソク足では【始値】より【終値】が高い場合を【陽線】、【始値】が【終値】より低い場合は【陰線】と呼びます。【高値】と【安値】は上記四角の中心に1本の縦線で表示されます。

1つのローソクの表示区間を一日にしたものを【日足(ひあし)】、一週間の場合は【週足(しゅうあし)】、一ヶ月の場合は【月足(つきあし)】、一年の場合は【年足(ねんあし】と呼ばれ、それぞれ短期から長期の値動きを分析する際に用いられます。表示区間をもっと短くすることもあり、例えば5分間にしたものは【5分足(ごふんあし)】、1分間にしたものは【1分足(いっぷんあし)】と呼ばれ、ごく短期の値動きを分析する際に用いられます。
トレンド系のテクニカル分析
トレンド系のテクニカル分析は、主として株価のトレンドを判断する手法で、移動平均線、パラボリックSAR、酒田五法、一目均衡表、ボリンジャーバンドなどがあります。
ここではシグナルが分かりやすいと思われる移動平均線(ゴールデンクロスとデッドクロス)とパラボリックSARについて解説します。
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カブ板のチャート分析
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①移動平均線(ゴールデンクロスとデッドクロス)

移動平均線とは一定期間の株価の終値を平均した値の推移を時系列で表示した線グラフです。移動平均線は単独でトレンド見る場合にも使われますが、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜くと上昇トレンド転換(ゴールデンクロス)、逆に短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜けると下落トレンド転換(デッドクロス)とされています。この場合、短期と長期の組み合わせは、日足では5日と25日、週足では13週と26週が多く用いられています。
出所:SBIネオトレ―ド証券
移動平均線を利用する際の注意点
- 投資判断のタイミングが遅れる:移動平均線は過去のデータを基に計算されるため、株価の変動に遅行します。このため、急激な相場の変化に対応しにくいといえます。
同様に、二種の移動平均線を用いたゴールデンクロスとデッドクロスも実際の株価に対して遅行するので、売買の判断タイミングが遅くなってしまうことがあります。 - 短期的なノイズに影響されやすい:短期間の移動平均線(例:5日移動平均)は、価格の短期的な変動に敏感であり、ノイズによって誤ったシグナルを発することがあります。
- トレンドがない相場に弱い:移動平均線はトレンドをみる指標であるため、一定の範囲で値動きがとどまる相場(レンジ相場といいます)のように明確なトレンドがない場合には、シグナルが頻繁に発生し、ダマシ(後で振り返って誤ったシグナルとなること)が多くなります。
- 計算期間によってシグナルが異なる:移動平均線の計算期間を短くすると変動が大きく、長くすると変動が緩やかになります。このため、例えば、組み合わせによって売買シグナルとして利用する場合には、得られる結果が計算期間次第で大きく異なることになります。
②パラボリックSAR(エスエーアール)
パラボリックSARは、チャート上にSAR(Stop And Reverse)と名づけられたポイントを放物線(パラボリック)で表示するのが特徴です。
SARが株価より下にあれば(株価をSARが下から支えているように見える間は)上昇トレンド継続、株価より上にあれば(株価をSARが上から押さえつけているように見える間は)下落トレンド継続、SARの位置が入れ替わればトレンド転換となります。
パラボリックSARは転換シグナルが分かりやすく、一旦転換すると継続することが多いので、週足や月足による中長期のトレンド分析に使われることもあります。

出所:SBIネオトレ―ド証券
パラボリックSARを利用する際の注意点
- レンジ相場(一定の範囲で値動きがとどまっている状況)に弱い:パラボリックSARはトレンドが明確な相場では有効とされますが、レンジ相場のように価格が一定範囲で上下する場合には、頻繁に売買シグナルが発生しやすくなり、ダマシが多くなります。
- 短期取引では使いにくい: 日足(ひあし)や分足(ふんあし)では、利益がほとんど出ていないにもかかわらず、パラボリックSARのトレンド反転シグナルが頻繁に出てしまうことがあります。このため、1日~数日間といった短期取引では使い勝手が悪いとされることもあります。
オシレーター系のテクニカル分析
オシレーター系のテクニカル分析は市場の過熱感やトレンドの強弱をみる手法です。オシレーターは価格が一定の範囲内で動く時にその効果を発揮しやすく、売買のタイミングを見極める指標とされています。
オシレーター系のテクニカル分析には、RSI(アール・エス・アイ)、MACD(マックディー)、スロー・ストキャスティックス、DMIなどがありますが、ここではRSIについて説明します。
RSI(アール・エス・アイ)
RSIとはRelative Strength Index(相対力指標)の略称で、オシレーター系の代表的な指標です。RSIは0〜100の数値で表され、一般に、数値が70%〜80%を超えると買われすぎ、20%〜30%より下がると売られすぎとされています。

出所:SBIネオトレ―ド証券
RSIを利用する際の注意点
- 長期トレンド発生時に弱い:長期的なトレンドが継続するような局面では、RSIが80%を超えていても株価が上昇し続けたり、逆にRSIが20%を下回っていても株価が下落し続けたりすることがあります。
- ダイバージェンスは解釈が難しい: RSIの水準を見るだけでなく、RSIのダイバージェンス(価格とRSIの動きが逆行する現象)を相場の転換点のシグナルとする利用法もあります。ただし、この利用法は判断が難しく、誤った解釈をすると、投資判断を誤る可能性もあります。
ポイント
- ローソク足は株価チャートに用いられる
- テクニカル分析の手法はトレンド系とオシレーター系に大別される
- トレンド系の分析手法は相場の方向性を予測する目的で使われる
- オシレーター系の分析手法は買われ過ぎ・売られ過ぎを判断する目的で使われる
- 100%有効な指標はないので、注意して用いる必要がある