信用取引では現物取引と異なるルールがいくつもあります。その中で、特に注意が必要なルールについて解説します。
同一資金での回転売買
信用取引の大きな特徴の一つとして、同じ銘柄を同じ保証金で同じ日に何度でも取引できる 点が挙げられます。2013年1月に信用取引の委託保証金に関する制度改正が実施され、信用取引で建玉を返済後、その保証金を受渡日を待つことなく即時に次の信用取引に利用できるようになりました。この法改正によって同一資金での回転売買が可能になり、資金効率が大幅に向上しました。
また、同制度改正に伴い、返済して得た利益分も委託保証金として即座に利用することができるようになったほか、建玉を返済して追証の請求分に充当することも可能になりました。
なお、現物株では一日の内に同じ資金で同じ銘柄の取引は一往復(「買い」→「売り」、「売り」→「買い」)のみに制限されております(差金決済規制)。
※信用取引の売買には、金利・貸株料などがかかります。
【参考】当日内で同一銘柄の売買は可能ですか?
現物取引の場合

現物取引では同じ資金で同じ銘柄を1日に1度のみ取引できます
信用取引の場合

信用取引では同じ資金で同じ銘柄を1日に何度も取引できます
回転売買の注意事項
- 信用取引における「回転売買」は原則として取引回数の制限がございません。しかしながら、過度な「回転売買」は「価格変動リスク」をはじめ、様々なリスクが高まる取引となりますので十分にご注意ください。
- 当社では「回転売買」を禁止行為としておりませんが、リスク管理の観点から過度な「回転売買」と当社が判断した場合、お客様へのヒアリングや取引の制限を行う場合があります。
- 「回転売買」、すなわちデイトレード(日計り(ひばかり)取引)を繰り返した場合、1回ごとに1日分の信用取引金利・貸株料がかかります。
当社の場合は制度信用買方金利が年率2.30%なので、300万円の建玉を日計りで20回取引した場合の金利は以下のように計算されます。
300万円 × 2.30% ÷ 365日 × 20回 = 3,780円 ※一円未満を切り捨て
【関連】信用取引の手数料とコスト
現引・現渡
信用取引で保有している建玉の返済方法には、反対売買によって建玉を返済する方法と、現金または、建玉と同銘柄の現物株式で返済する方法があります。
現引(げんびき)
現引(げんびき)とは、買建玉を保有している場合に、建玉の総額代金と諸費用を支払い、現物株式を引き取る方法のことを指します。
現引(げんびき)の流れ

現渡(げんわたし)
現渡(げんわたし)とは、売建玉を保有している場合に、建玉と同じ銘柄の現物株式を差し出すことで返済を行い、売り建玉の金額を受取る方法のことを指します。
現渡(げんわたし)の流れ

二階建て
「二階建て」とは、現物株式で保有している銘柄と同じ銘柄で信用取引の買建てを行うことを言います。銘柄の価格が上昇した時は、現物株式の評価が上がるほか、保有している信用取引の建玉の利益も上がり、利幅が大きくなります。ただし、逆に株価が下落した場合は、保有している株式の評価が下がることにより保証金預託率が低下するほか、建玉の評価損も生じるため、追証が発生しやすくなるばかりでなく、損失額も拡大してしまいます。
- 当社では「二階建て」を一律禁止とはしておりませんが、リスク管理の観点からお客様へのヒアリングや個別銘柄毎の規制を行う場合があります。「二階建て」を行う際には十分にご注意ください。
二階建て時の保証金率(手数料等諸経費は考慮しておりません)
A銘柄の株価が250円から260円に上昇した場合
A銘柄の株価が250円から240円に下落した場合
ポイント
- 信用取引では、同じ銘柄を同じ資金で同じ日に何度でも取引できる
- 現物取引では、同じ日に同じ銘柄を同じ資金で取引できるのは一往復まで
- 信用取引の決済方法には、反対売買以外に現引・現渡が使える
- 二階建てはハイリスク・ハイリターンのため、注意が必要