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信用取引は、やめとけ、危険だと言われる場合があります。その理由として現物取引にはない投資金以上の損失が発生することや現物取引にはないコスト(金利や逆日歩(ぎゃくひぶ)など)が発生する事が挙げられます。
しかし、信用取引にはメリットもあり、事前にルールやリスクを知り、適切な取引管理を行えば、投資戦略を広げられる強い武器になります。ここでは、その対処方法についてご案内致します。
そもそも信用取引とは?
信用取引は、投資家が証券会社から資金や株式を借りて行う取引であり、通常の現物取引とは異なり、元手以上の売買が可能になります。この仕組みを利用することで、少ない自己資金でもより大きな利益を期待することができます。ただし、その裏には特有のリスクも存在します。
基本的な仕組み
- 保証金を預ける
投資家はまず証券会社に保証金(自己資金)を預けます。この保証金を基に、証券会社から資金または株式を借りることができます。 - 株式の売買
借りた株式を売却したり、借りた資金で株式を購入したりします。この過程で、評価損益(含み益や含み損)が発生します。 - 返済
最終的には借りた資金や株式を返済する必要があります。取引終了時に行い、この時点で損益を確定させます。
- レバレッジ効果
少額の自己資金に対して、最大約3.3倍の取引ができるため、短期間で大きな利益を得る可能性があります。 - 売り(空売り)も可能
現物取引と異なり、信用取引では相場が下落する場面でも利益を狙えるため、上昇相場に限らず収益を狙えるチャンスがあります。 - 資金効率の良さ
元手を効率的に活用し、より多くの資産を運用できます。 - 担保となるのは、現金のみではなく保有株や投資信託等も対象のため、最低でも保証金30万円以上あれば、現金を別途用意しなくても取引が可能です。 ※ 保有株や投資信託等は、前営業日の終値評価の80%(原則)分が保証金としてご利用いただけます。
- 株主優待がもらえない
信用取引は、借りた株式や資金での取引となりますので、権利確定されても株主優待はもらえません。 - 損失の拡大
レバレッジを活用することで利益の増加が期待できる一方、相場が予想に反した方向に動いた場合には、損失も大きくなります。 - 保証金の追加
損失が膨らみ委託保証金率が悪化した場合に、追加で保証金を差し入れないといけない場合があります。 - 返済義務
借りた資金や株式は必ず返済しなければならないため、場合によっては取引による利益を資金調達金利や株券の借り賃等の費用が過大になる場合があります。
レバレッジ効果について
レバレッジ効果とは、信用取引の大きな特徴のひとつであり、少額の資金で多額の取引を行うことが可能となる仕組みです。
例えば、保証金が30万円であったとしても、信用取引を利用することで100万円規模の取引ができることがあります。しかし、この仕組みは利益だけでなく損失も同様に拡大するリスクを伴うため、慎重な管理と運用が求められます。
信用取引が「やめとけ」と言われる5つの理由
1.自己資金以上の損失リスク
信用取引はレバレッジ効果により自己資金の最大約3.3倍までの取引が可能ですが、逆に動いた場合、投資した資金以上に損失が発生することがあります。
含み損が一定の基準を下回った場合に追加保証金(追証(おいしょう))が発生します。
損失分の追証を期限までに入金できない場合は、強制的に決済されます。
2. コスト負担が大きい
信用取引は現物取引と異なり、取引手数料のほかに金利や貸株料、逆日歩(空売り時の費用)など様々なコストが発生します。
特に長期保有になればなるほどコスト負担は大きくなり、利益が出ていてもコスト分で損失になることもあります。
3. 期限(信用期日)による強制決済リスク
信用取引には返済期限(制度信用、一般信用※)が設定されています。期日までに返済しないと強制的に決済され、意図しないタイミングで損失が確定する場合もあります。
※当社の一般信用は原則無期限ですが、コーポレートアクションにより期日設定されます。
4. 急激な相場変動時のリスク管理が難しい
株価の急落・急騰など予想外の動きがあった場合、大きな損失につながりやすいです。
現物取引と比べ、損切りが遅れるとダメージが拡大しやすいため、短期的な相場変動に対応するリスク管理手段で手当てをしておくことが重要です。
5. 取引規制や空売り規制等のルール変更リスク
市場環境によって証券会社や取引所が突然規制を設ける場合があり、取引そのものが難しくなったり、保証金率の引き上げ等で想定以上の担保が必要となる場合があります。
レバレッジによる損失の急拡大リスク
例えば保証金として100万円を預け、レバレッジを活用して200万円の取引を行ったとします。この場合、レバレッジ倍率は2倍になります。
※この場合、相場変動により保証金計算が40万円未満になると追加保証金が必要となります。計算方法は下記にて説明します。
損失時の影響
| 株価が10%下落した場合 |
|
|---|---|
| 株価が20%下落した場合 |
|
| 株価が30%下落した場合 |
|
急激な資産減少の危険性
信用取引では、次のような状況が急速な資産減少を引き起こす恐れがあります。
| 市場の急変 | 株価が短期間で大幅に上下すると、保証金を失う速度が非常に早くなります。 |
|---|---|
| 追加保証金の請求 | 保証金が不足した場合、追加の資金を用意するか建玉の整理による保証金率の引き上げ等によって追加保証金を回避する必要があり、さらに対応が遅くなると追加資金や建玉管理などの負担が増える可能性があります。 |
| 強制的なポジション解消 | 期限内に追加保証金を入金できない場合、証券会社がポジションを自動的に解消することで、さらなる損失を回避しますが、それがお客様にとって不本意なタイミングで行われる可能性があります。 |
追証(追加保証金)発生で借金になる可能性
追証(追加保証金)が発生する条件と支払えない場合のリスク
信用取引では、保有買建玉の株価下落などで委託保証金率が証券会社の定める基準(多くは20~25%、当社は20%)を下回ると追証が発生します。
追証発生後、指定期限までに追加保証金を入金できない場合、証券会社は全建玉を強制決済しますが、相場急変などで保証金を超える損失が出ると、投資家はその不足分を追加で証券会社に支払う必要があります。
実際、急激な株価下落時に追証が発生し、強制決済でも損失が補えず、多額の請求が発生した事例もあります。
金利・貸株料などのコストが利益を圧迫
信用取引で発生する各種コストと長期保有時の影響
信用取引では以下のコストが発生します(証券会社により下記コストは異なります)。
| 金利 | 信用買い時に証券会社から借りた資金に対して発生。通常2.30%(年利) |
|---|---|
| 貸株料 | 信用売り時に証券会社から株を借りる際に発生。1.10%(年利) |
| 管理費 | 建玉を1ヵ月以上保有すると発生し、1株あたり11銭(1株単位銘柄の場合1株あたり110円) |
| 逆日歩(品貸料) | 信用売りで株不足が発生した場合に追加で発生する費用で、金額は日々変動し、長期保有時は大きな負担になることも。また、取引した当日ではなく、翌営業日に発生の有無と金額が確定する点も注意が必要 |
| その他 | 売買手数料、名義書換料、権利処理等手数料など |
強制決済で思わぬタイミングの損失確定
強制決済が発生する条件とリスク
委託保証金率が基準を下回った場合、証券会社は建玉を強制決済します。
相場急変時や流動性が低い銘柄は、決済がすぐにできずに損失が拡大しやすくなります。
特に相場急変時は原則として成行で注文が行われるため、予想以上に損失が膨らむ場合があります。
精神的プレッシャーによる判断ミスの増加
信用取引における心理的負担と失敗例
信用取引はレバレッジをかけて取引するため、含み損が拡大した際の精神的プレッシャーが大きくなります。
追証や強制決済の不安から冷静さを失い、非合理的な判断を下すケースが増加します。実際、冷静さを欠いた結果、損失が拡大したり、資金管理に失敗して借金を抱える例も少なくありません。
委託保証金率と追証リスクの実際
信用取引では、株式などの自己資金(委託保証金)を担保にして、元手以上の取引ができます。
このとき、委託保証金が建玉(ポジション)に対してどれだけ余裕があるかを示す指標が「委託保証金率」です。
計算式は以下の通りです。
委託保証金率(%)=受入保証金合計/建玉金額×100
委託保証金率が高いほど、担保に余裕があり安全性が高い状態です。逆に委託保証金率が低下すると、リスクが高まります。
どのような状況で危険になるか
信用取引では、証券会社ごとに最低限委託保証金維持率(追証ライン)が定められており、一般的に20~30%程度が多いです(当社は20%)。
- 委託保証金率が最低委託保証金維持率(追証ライン)を下回ると
追加保証金(追証)が発生します。これは、担保が不足した状態を意味し、一定期間内に追加で保証金を入金するか、建玉を決済して委託保証金率を引き上げる必要があります。 - 委託保証金率が低下する主な要因
- 建玉の評価損が拡大した場合
- 代用有価証券(担保にしている株など)の値下がり
- 相場の急変動
最低限必要な保証金の計算方法
| 委託保証金(必要保証金)について | 保証金とは、ポジションを保有するために必要な金額のことを指します。 例として、100万円分の株を信用取引で購入する場合、保証金率が30%であれば、100万円 × 30% = 30万円 の保証金が必要となります。 |
|---|---|
| 最低委託保証金維持率について | ポジションを維持するには、保証金の一定割合を保つ必要があります。 例えば、保証金率が20%に設定されている場合、資産価値がこれを下回ると追加保証金が要求される場合があります。 |
委託保証金率が危険水準に達するケースとは?
資産価値の下落が委託保証金率の低下を引き起こす要因となります。例えば、元の資産価値が100万円で300万円分のポジションを保有している場合は、保証金率は約33.3%となりますが、価格の下落により資産価値が70万円となった場合は、委託保証金率は以下のように計算され、委託保証金率=資産価値÷ポジション総額×100 70万円÷300万円×100=23.3%に下がります。
また、資産価値が更に下がり20%を下回ると追証が発生します。
追証を発生日の翌々営業日の12時までに解消できない場合、建玉はすべて強制決済されます。
信用取引のコスト構造を理解する
信用取引で発生する諸経費は、以下の通りです。
| 買い方金利 | 保有日数に応じて借りた資金に対して発生する |
|---|---|
| 売り方貸株料 | 保有日数に応じて借りた株式に対して発生する |
| 管理料(事務管理費) | 新規建て日から1ヵ月応答日ごとに発生する諸経費 |
| 名義書換料 | 権利確定した場合に発生する諸経費、買い方のみに発生する |
| 逆日歩(品貸料) | 買い方は受け取り、売り方は支払い、取引当日には発生有無はわからず、翌日に日本証券金融が発表して発生有無と金額が確定する |
| 配当落調整金 | 買い方は受け取り、売り方は支払い、配当金額に応じて発生する |
コスト管理の重要性
金利や貸株料などの諸経費が利益を圧迫することがあり、逆日歩は想定外に膨らむ可能性があるので注意が必要です。
信用買いで発生する金利負担とその計算方法
信用買いでは、証券会社から資金を借りて株を購入するため、「金利」の支払いが発生します。金利は日歩(1日あたりの利率)で計算され、保有日数に応じて課されます。
当社の場合は制度信用買い方金利が年率2.3%なので、100万円分の株を10日間保有すると、金利は以下のように計算されます。
100万円 × 2.3% ÷ 365日 × 10日 = 630円
信用売りで支払う貸株料とは?
信用売りでは、投資家は証券会社から株式を借りて売却するため、その借り賃として「貸株料」を支払います。
当社の場合、貸株料は年率1.1%なので、100万円分の株を10日間保有すると、金利は以下のように計算されます。
100万円 × 1.1% ÷ 365日 × 10日 = 301円
長期保有での金利コスト試算
信用取引では、保有期間が長くなるほど金利コストが増加します。
例えば、当社で制度信用100万円分信用買いを行った場合、標準金利の年率2.3%で計算すると以下のようになります。
| 1ヵ月(30日) | 100万円 × 2.3% ÷ 365日 × 30日 = 1,890円 |
|---|---|
| 3ヵ月(90日) | 100万円 × 2.3% ÷ 365日 × 90日 = 5,671円 |
| 6ヵ月(180日) | 100万円 × 2.3% ÷ 365日 × 180日 = 11,342円 |
なお、現物取引で100万円の株式を買付・売却した場合は、売買手数料のみかかるので、当社の手数料プランの場合は、以下のように計算されます(売買手数料は買付・売却代金により異なります)。
| 一律プラン | 買い374円、売り374円 合計748円(税込) |
|---|---|
| 定額プラン | 当日中に売買した場合、合計1,100円 別日に売買した場合、無料 |
自分の投資スタイルに合った取引の選び方
投資スタイルに合った取引方法を選ぶには、投資目的・資金力・リスク許容度を考慮することが重要です。
信用取引は元手以上の取引が可能なため、短期的に利益を狙う投資家や資金効率を重視し、相場のタイミングを見て素早く売買できる投資家に適しています。
一方で、元本以上の損失リスクがあるため、安定重視の長期投資家やリスク許容度が低い人には不安材料となる場合があります。
ただし、使い方次第では、保有株の値下がりをヘッジできるため、一時的な値下がりに対する保険的な役割で信用取引を活用する投資家もあり、投資戦略の幅を広げることができます。
初心者が信用取引を始める前にやるべきこと
信用取引はリスクのある取引手法であるため、初心者が始める前には十分な準備が不可欠です。
まずは現物取引での売買経験を積み、株価の動きや銘柄ごとの特性、市場の流れを体感することが重要です。これにより、リスク管理や買いや売りタイミングの判断力が養われます。
また、信用取引には金利や貸株料、追証(追加保証金)が存在するため、それらの知識をしっかり学ぶことが求められます。当社が提供する「よくあるご質問(FAQ)」やセミナー動画を活用することでイメージが沸くかと思います。
さらに、自分自身がどの程度までリスクをとれるかを分析し、資金管理のルールを明確にしておくことが大切です。
信用取引を成功させるには、冷静な判断力と継続的な学習姿勢が欠かせません。準備を怠らず、段階的にスキルを高めていくことが、安全な取引への第一歩です。
リスク管理できる資金計画の立て方
信用取引ではリスク管理が極めて重要です。
まず、資金配分は総資金の3割以内を目安にし、過度なレバレッジは避けましょう。
損切りルールは明確に設定し、1回の取引での損失は資金の〇%以内にするといった形でルール化しておくことが理想です。
事前に損切りラインをチャート上に設定しておくなどの方法により、可視化することも有効な管理方法の一つと言えます。
また、ポジションサイズの管理も重要で、自己資金に対してどの程度の取引を行うかを常に意識するほか、複数の銘柄に分散することもリスク軽減の手段としては有効です。感情に左右されず、計画的な取引を心がけましょう。
NEOTRADER(PCダウンロード版)
注文機能と使いやすさを追究し、信用取引に特化した分析機能、売買に直結する板(いた)画面、簡易レイアウト変更機能や多数のテクニカルを実装した多機能チャートが利用できる取引ツールです。東証FlexFull対応の「発注板ALL」は、マウス操作だけで発注はもちろん注文訂正や取消、建玉返済も行える直感的な操作が特徴です。
まとめ
「信用取引をやめとけ」と言われるのは、レバレッジをかけることによりリスクが大きく損失も膨らみやすいためです。元手以上の取引ができる反面、判断を誤ると資金を失う可能性があります。
しかし、リスク管理を徹底すれば有効な投資手段にもなるだけでなく、保有株のヘッジ利用等にも活用ができます。冷静な判断力と明確なルール設定で、信用取引を上手く利用してみてください。
よくあるご質問
信用取引はなぜ儲かるのですか?
信用取引は元手以上の資金で取引できるため、値動きによる利益が大きくなります。また、売りから入る「空売り」も可能で、下落相場でも利益を狙えます。
信用取引はどのような人に向いていますか?
信用取引は「担保を活用して取引できる」という仕組みがあるため、幅広い投資家に向いています。現金だけでなく保有している株式などを担保に資金を運用できるので、投資の選択肢を広げやすいのが特徴です。初心者にとっては少ない元手でも投資機会を得られる点が魅力ですし、経験豊富な上級者にとっては、より効率的に資金を活用して戦略的な取引を行えるメリットがあります。
要するに、信用取引は担保をうまく使える仕組みがあるからこそ、投資経験の浅い人からベテランまで幅広く活用できる取引手段といえます。
注意事項
- 信用取引をはじめるには、信用取引口座の開設が必要です。NEOTRADE Wの「信用取引」タブから信用取引口座の申込みを行ってください。
- 制度信用取引で売建てた場合、借りる株に対して貸株料が発生します。金利と同様に日数に応じて発生しますが、金利と異なり市況状況によっては逆日歩(品貸料)と呼ばれる費用が追加で発生する場合があります。また、配当金がある場合、配当落調整金を支払う必要があります。
- すべての銘柄で信用取引の売建てができるわけではありません。
