信用取引でデイトレードを始めるメリットとコストを徹底比較

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信用取引でデイトレードを始めるメリットとコストを徹底比較信用取引でデイトレードを始めるメリットとコストを徹底比較

デイトレードを始めてみようと思ったら、メリットだけではなく、デメリットやコストについても理解をしておく必要があります。
信用取引のデイトレードは、欧米市場が大きく動く可能性がある夜間に株式のポジションを持たないので、オーバーナイトリスク(前日終値と翌日の始値が大きく乖離するギャップアップ・ギャップダウンが発生すること)を避けることができます。
加えて、信用取引を使えば同一銘柄を同じ資金で何回も売買できることも大きなメリットです。
ただし、過度な取引の繰り返しは「価格変動リスク」をはじめ、コストの増加にもつながりますので、しっかりとリスクについて理解しておきましょう。

デイトレードとは?

デイトレードとは、文字通り1日(Day)の取引(Trade)で、取引を仕掛けて同日中に決済する(完結させる)取引手法のことです。
「デイトレ」や「日計り(ひばかり)取引」とも呼ばれます。
デイトレードには、数秒から数分で売買を繰り返す、数時間程度ポジションを保有して当日中に決済する、あるいは取引開始直後にポジションをとって大引けで手仕舞う、など様々な投資スタイルがあります。
ここでは以下の項目を説明します。

  • 短期で利益を狙う取引手法
  • 当日中に全て決済するスタイル
  • 初心者向けの基礎知識

短期で利益を狙う取引手法

投資戦略を考える際には、どの程度投資ポジションを保持してリターンを上げるかという前提があり、これを投資の時間軸と呼びます。
HFT(高頻度取引業者)と呼ばれるプロだと投資の時間軸はコンマ数秒以下である一方、長期資金を運用するファンドだと投資の時間軸は数年~10年超となることもあります。
個人投資家に限って言えば、当日内に取引を開始して反対売買まで行って取引を手仕舞うデイトレード、数日から数週間を時間軸とするスィングトレードのうち、当日から数日間で取引を完了させる投資を短期取引と呼ぶことが多いようです。
これらの短期取引には、数秒から数分で売買を行うスキャルピング、気配値を見て売買する板読み投資、分単位の値動きのテクニカル分析に基づく投資など様々な投資手法が用いられます。
また、短期取引では値動きのかなりの部分が需給要因となるため、中長期の企業業績などを基にしたファンダメンタルズ分析だけで良い成果を残すことは難しいと考えられています。

過度な売買は「価格変動リスク」をはじめ、様々なリスクが高まる取引となりますので十分にご注意ください。また、当社でリスク管理の観点から過度な取引であると判断した場合、お客様へのヒアリングや取引の制限を行う場合がありますのでご留意ください。

購入する銘柄を知るには?

「ファンダメンタルズ分析」をご紹介!

当日中に全て決済するスタイル

当日中にポジション決済するということは、上場株の場合はその日の取引終了時点では常に買・売ともにポジションをもたず、基本的に現金(キャッシュ)残高に戻っていることを意味します。
これにより、日本時間の夜間に欧米市場でどんな大波乱が起きても影響を受けずに済みます。
言い換えると、オーバーナイトリスクを避けることができることになります。
日本株の時価総額が大きな企業には海外売上比率が高い企業が多く、直接の輸出だけでなく連結決算での海外子会社業績の円換算額が変動する為替相場の影響を大きく受けることになります。
また、日本株の取引金額に占める海外投資家による売買の影響が大きいことから、全ての銘柄ではありませんが、米国株が上がれば翌日の日本株相場は高く、下がれば翌日の日本株相場も安いという場合があります。
さらに暴落時は欧米の株式と日本株の相関が極めて高くなることが経験的に知られています。
このため、何らかの原因で欧米株がクラッシュすると翌日の日本株もほぼ例外なくクラッシュしてしまいます。
だからこそ、オーバーナイトリスクを避けることによるリスク低減効果が大きいと考えられています。しかしながら、短期での売買を繰り返すような過度な取引は別途様々なリスクが伴いますので、注意が必要です。

初心者向けの基礎知識

デイトレーダーになろうと思えば、誰でもその日からデイトレーダーを自称することができます。
しかしながら、結果を残してトレードを続けるためには以下のポイントを抑えておいたほうが良いでしょう。

初心者がデイトレーダーを目指す際に知っておくべきポイント

  • トレード戦略を立てる
    意味なくトレードを繰り返しても、よくて五分五分、悪ければマイナスになってしまいます。どういう銘柄に対して、何をきっかけにしてトレードを始め、どうなったら決済するか、という投資判断の拠り所が必要です。
  • 損切りルールを決める
    トレードの基本は利大損小です。利益が乗っているときは我慢して利を大きく伸ばす一方、相場が予想と逆行した場合は、損失が膨らんでしまわないように1回あたりの損失を小さく抑えて、損切りをルールに従って淡々行うことが重要とされています。エントリーと同時に「逆指値注文」を入れて、機械的に損切りされるようにしておくことも一案です。※新規注文と同時に、新規注文が約定した決済の逆指値注文について自動発注を行える「IFD注文」も活用すると便利です。ネオトレではIFD注文で、新規注文の約定価格をを基準に逆指値の価格を設定できる「値幅指定」機能もあります。
  • 取引する時間を選ぶ
    東京株式市場の取引時間は平日の9時から11時半まで(前場)と、12時半から15時30分まで(後場)です。この中でも取引開始直後の9時~10時頃は取引が特に活発なので、この1時間だけ取引を行うデイトレーダーも少なくありません。なお、長時間モニターに張り付いているのは心身ともに大変なので、自身のライフスタイルに合わせて、トレードする時間を決めると良いでしょう。
  • 資金管理をしっかりと行う
    デイトレードを効率的に行うために用いられる信用取引はレバレッジ取引であるため、投資資金以上の損失が発生するリスクがあるので、資金管理のルールをしっかりと持つことが重要です。
  • 自己管理と投資規律
    短時間に集中して多くの取引を行うことになるので、感情の浮き沈みに注意し、自ら定めたルールに従って淡々と取引を行うことが重要と考えられています。

信用取引の仕組み

信用取引とは、現金や株式等を証券会社に担保として預けて、購入資金を借りて株式を購入する、または株式を借りて信用売り(空売り) を行うことをいいます。
通常の取引(現物取引)では、まず株式を購入して、その後売却して収益を狙います。
一方、信用取引では買いから始めることも売りから始めることもできます。
信用買いは通常の現物取引のように買いから始めて、返済売りで取引が終了します。
一方、信用売りは、保有していない株式を売って(空売りして)から、それを買い戻して返済し、取引を終了します。
信用売りでは売り⇒買いという順になるため、新規の売建て後に株価が下落すると収益を得ることができます(貸株料、手数料等を除く)。

証券会社から資金を借りる方法

信用取引では、まず現金や株式等を証券会社に担保として預けます。
次に預けた現金や株券等の評価額(委託保証金)の最大約3.3倍までの株式の購入資金を借りる、または信用売り(空売り)を行う為に株式を借りて新規建て取引を行います。
信用取引で購入した株式や売却代金は決済が行われるまで本担保として証券会社が管理します。
信用取引には予め決められた期限(制度信用は原則6ヵ月、ネオトレでの一般信用は原則無期限)があり、期限内に反対売買を行うか、株式の受け渡し(現引・現渡)で決済します。
個別銘柄に取引規制がかかっている場合を除き、信用取引では委託保証金の最大約3.3倍までの取引ができます。
例えば現金と株式等の評価額の合計が30万円の場合、100万円までの資金や株式を借りることができます。
なお、信用取引を行うためには信用取引口座を開設する必要があり、口座開設には審査があります。

買い方(買建)と売り方(売建)

信用取引を利用して取引を始めることを「新規建(しんきだて)」と言い、「買い」からスタートする場合を「買建(かいだて)」、「売り」からスタートする場合を「売建(うりだて)」と言います。
また、信用取引で保有している株式のことを「建玉(たてぎょく)」と言います。
建玉を手仕舞う(無くす)場合、「返済」を行います。
買いの建玉を保有している場合は「返済売り」、 売りの建玉を保有している場合は「返済買い」を行います。
信用取引のメリットは、買い方、売り方ともに「手持ち資金以上の取引ができる」、「一日に何度も同じ銘柄を同一資金で取引できる」という点が挙げられます。
さらに信用売りでは「下落相場でも利益が狙える」ことも大きなメリットです。
一方、信用取引のデメリットとしては、「金利・貸株料がかかる」、「名義書換料などの諸経費がかかる場合がある」、「制度信用では原則6か月の決済期限がある」といった点が挙げられます。

担保と維持率の基本

当社で信用取引口座を開設すると、預けている株式、投信、現金が信用取引の委託保証金(信用取引の担保)として利用できるようになります(代用不適格銘柄及びNISA口座で保有している銘柄を除く)。
この時、現金はそのまま100%を、株式と投信は原則として前営業日の終値または基準価格で算定した評価額の80%を、委託保証金として利用することができます。
信用取引を行うために必要な委託保証金は取引金額の30%で、最低30万円以上です。
例えば、信用買いで約定金額300万円の場合、必要な委託保証金は90万円です。
なお、レバレッジ型ETF・ETNは、30%にレバレッジ/ダブルインバース型ETF・ETNの倍率を乗じた率が保証金預託率となります。
また、金融商品取引所等の規制や証券会社の判断により、特定の銘柄が保証金預託率の引き上げおよび保証金の一部を現金で預託する増担保(ましたんぽ)規制 の対象となる場合があります。
保証金預託率は以下の計算式で算出します。

保証金預託率(%)= 担保で預けた保証金 ÷(取引単価×株数)× 100

この委託保証金の額は、現金と代用有価証券の合計から、建玉の評価損や諸経費が差し引かれるため、保証金預託率は日々変動します。
なお、保証金預託率は最低限20%を維持しなければなりません。
これを最低維持率と言います。
建玉の評価損の拡大や、委託保証金として預けている株式等(代用有価証券)の値下がりなどにより保証金預託率が最低維持率である20%を下回った場合には、追加で保証金を差し入れなければなりません。
この追加で求められる保証金のことを追加保証金または追証(おいしょう)と呼びます。

デイトレードのポイント

特定の条件さえ満たせば誰でもデイトレーダーとして成功するというものはありません。
とはいえ、一般的に、以下に例示するようなポイントが重要と考えられています。

  • 銘柄選び
    売買が活発で値動きが大きい銘柄が好まれる
  • 取引する時間帯
    取引開始直後で売買が活発な時間帯が好まれる
  • 投資手法
    投資を始める(エントリー)タイミングと決済する(エグジット)タイミングについて、何らかの拠り所が必要。一般的には、勘や板読みだけでは難しいと考えられている
  • 資金管理
    想定外の値動きにも耐えられるように投資資金には余裕を持たせ、損失をコントロールするために損切りのルールを徹底することが必要
  • 感情のコントロール
    投資成果に一喜一憂しないで、淡々とトレードできるようになれば投資判断を誤ることが少なくなると考えられている

値動きの大きい銘柄の選び方

デイトレードには売買金額が多く、かつ値動きが大きい銘柄が向いているとされています。
これは、売買金額が少ないとトレードが思い通りのタイミングで取引できない(取引が成立しづらい)ことに加えて、値動きが大きくないと値幅が取れず十分な利益が期待できないことによるものですが、同時に価格変動リスクなどの様々なリスクも大きくなることに注意が必要です。
具体的にデイトレードに適した銘柄を探す方法には様々ありますが、例えば以下のような銘柄が候補となると考えられます。

  • 売買金額ランキング上位銘柄で、かつ、騰落率(前日比)が大きな銘柄
    流動性が高くて売買しやすい
  • Tick回数ランキング上位銘柄
    取引件数が多いことから、市場参加者の注目度が高いと推定される
  • 騰落率ランキング上位・下位銘柄
    値幅が出そうな銘柄、ただし1日の売買代金が少なくとも数十億円以上ある銘柄が望ましい
  • 出来高急増銘柄
    参加者が増えていると推測されるが、売買代金が少なくとも数十億円以上ある銘柄にすることが望ましい
  • ニュースで注目されている銘柄
    決算発表、業績修正、自社株買い、株主優待新設・廃止、新製品等の報道内容を分析して取引、これも売買代金が少なくとも数十億円以上ある銘柄であることが望ましい
  • 貸借銘柄か非貸借銘柄
    一般に制度信用取引で信用売りができる貸借銘柄よりも、信用売りができない非貸借銘柄の方が、値動きが大きく(荒く)、デイトレードがやりやすいといえる。一方で、非貸借銘柄は下がり始めると一気に下落することが多いことに加えて、制度信用の売りでデイトレードを行うことができない。このため、どちらをデイトレードの対象とするか、値動きの特性を考慮して決める必要がある
  • IPO銘柄は避ける
    IPO銘柄は値動きが極めて荒いことに加えて、流動性がどこまで続くか判断しにくいので、デイトレードに慣れるまでは避けたほうが無難
過度な売買は「価格変動リスク」をはじめ、様々なリスクが高まる取引となりますので十分にご注意ください。
また、当社では「回転売買」を制限はしておりませんが、リスク管理の観点から過度な取引であると判断した場合、お客様へのヒアリングや取引の制限を行う場合がありますのでご留意ください。

取引に適した時間帯例

デイトレードは、注文の回数が通常の取引スタイルに比べて多くなりますので、注文が成立しやすい時間帯を把握しておくことが肝要です。取引が多くなる時間帯とその原因について整理してみましょう。

取引が活発になる時間帯 取引が多い理由
取引開始(寄付)から1時間程度
  • 海外市況や朝のニュースで取引が増える
  • 寄付は板寄せ方式なので大量の取引が成立しやすい
後場寄り
  • 前場の動向や昼休み時間の香港、上海市場や外国為替相場の動向をもとに取引が増える
取引終了前とクロージングオークション
  • 引け後の決算開示等を控えてのポジション整理の取引が出やすい
  • クロージングオークションで流動性が増し、大きな注文でも執行されやすい
  • 終値での取引を行いたい投資信託などのフローが加わりやすい

テクニカル分析の活用法

デイトレーダーの多くがトレンドや転換点を見極める目安として、各種テクニカル分析を利用しています。
ただし、デイトレードを行うためにどのテクニカル分析を使わなければいけないということも、どれかを使わなければパフォーマンスが残せないということもありません。
テクニカル分析の中でも、移動平均線、MACD、パラボリックなどをデイトレードに利用している方も少なくないので、それらの使い方を紹介します。
なお、国内株式でテクニカル分析を行う際には、株式ならではの注意点があります。
それはFXなどと異なり、国内株では昼休みと夜間で分足(チャート)に大きな時間差と価格ギャップが生じ、各種テクニカル分析の連続性がなくなることです。
このため、前場・後場ともに寄付直後は分足のテクニカル分析が使いにくい状況となるので注意が必要です。

① 移動平均線でデイトレード

以下チャートは株価と移動平均線2種を用いたデイトレ-ドの例です。
10時頃に短期の移動平均線(5分足、5区間)が長期の移動平均線(5分足、15区間)を割り込み、移動平均線で見た売りシグナルとなりました。
その後、株価はシグナル通りに下落しました。
テクニカル分析の活用法
出所)SBIネオトレード証券、8136サンリオ 2025/8/14

② デイトレードにMACD(マックディー)

以下チャートはMACDを用いたデイトレードの例です。
10時過ぎにMACDの売りシグナル(赤いMACD線が水色のシグナル線を下抜き)が出て、その後株価は下落しました。
テクニカル分析の活用法
出所)SBIネオトレード証券、8136サンリオ 2025/8/14

③ デイトレードにパラボリック

以下チャートはパラボリックを用いたデイトレードの例です。
9:45頃にパラボリック(SAR)のシグナルが売りから買いに転換し(パラボリックSARが株価チャートの上から下に移動)、その後株価が上昇しました。
テクニカル分析の活用法
出所)SBIネオトレード証券、8473 SBIホールディングス 2025/8/14

※いずれも特定銘柄の取引の推奨や株価の上昇/下落を示唆するものではございません。

信用取引のデイトレードを行うメリット

信用取引はデイトレードと相性が良い取引です。デイトレードに信用取引を用いるメリットには以下のようなものがあります。

  • レバレッジ取引ができる
    デイトレードは短期売買のため売買頻度が多くなる一方、平均して得られる1回あたりの収益は少なくなります。
    このため、最大約3.3倍のレバレッジがかけられる信用取引を利用すれば、収益を増加させられる可能性が増します。
  • 回転売買可能で資金効率が良い
    デイトレードは特定の銘柄に対しての売買が多くなりがちなので、同日中の同一銘柄の回転売買が可能な信用取引は、現物取引に比較して資金効率を高めることができます。
  • 下落相場も収益機会にできる
    信用取引では保有していない株式の売建てができるので、下落相場からも収益を得ることができます。
    デイトレードでは買いしかできない現物取引よりも、買いも売りもできる信用取引のほうが収益を得る機会が多くなります。
過度な売買は「価格変動リスク」をはじめ、様々なリスクが高まる取引となりますので十分にご注意ください。
また、当社では「回転売買」を制限はしておりませんが、リスク管理の観点から過度な取引であると判断した場合、お客様へのヒアリングや取引の制限を行う場合がありますのでご留意ください。

少額資金での大きな取引

デイトレードは投資ポジションを持っている時間が限定的なので、オーバーナイトリスクを避けることができます。
一方で、投資ポジションを持っている時間が短いことで1トレード当たりの期待収益も下がることになります。
また、夜間の欧米の株式市場や為替・商品市況の影響を避けることができることは、値動きの大きな変動を避けていることになり、これも平均すると期待収益を下げてしまう可能性があります。
このため、デイトレードにおいては、信用取引を用いて最大約3.3倍のレバレッジを用いて取引サイズを大きくすることによって期待収益を増すことが効果的といえます。

<取引試算例>100万円の現金の枠内でA社株を1日3回売買し、1回あたり1%の収益が得られた場合
  • 現物取引・・・1回あたり33万円で3回取引
    33万円×3回売買×1% =9,900円(手数料・税金は考慮せず)
  • 信用取引・・・1回あたり100万円の証拠金で3回取引
    100万円×3.3倍×3回売買×1%=99,000円(金利・手数料・税金等は考慮せず)

同じ100万円の資金で同じ回数売買したとして、この事例では10倍もの差となりました。
なお、信用取引を用いたレバレッジ取引では手元の資金(委託保証金として担保に用いた金額)以上に損失が発生するなどのリスクも同様に大きくなることに留意が必要です。

下落相場での利益獲得

下落相場で利益を得るためには、信用取引の「信用売り(空売り)」を活用することが効果的です。
信用売りとは、証券会社から株式を借りて高値で売り、その後株価が下がったタイミングで安値で買い戻すことにより、その差額を利益とする方法です。
たとえば、1,000円の株を売建し、株価が500円に下がった後に買い戻すことで、単純計算で500円の利益が得られます。
この戦略は、現物株式の売買と比べて、下落局面でも利益を狙える点が大きな魅力です。

■実践例
証券会社から株式を借りて高値(例:10万円)で売却
実際に株価が下落(例:8万円)したところで買い戻し
差額(2万円)が利益となる

下落相場での利益獲得
実践上の注意点
  • 株価が予想に反して上昇した場合は損失となるため、事前の銘柄選びとリスク管理が重要
  • 売買手数料や貸株料などのコストも発生する

信用取引のリスク対策

信用取引でレバレッジ投資を行うと投資金額が増える分、価格変動リスクが増大します。
デイトレードであれば、影響を受けるのは日中の値動きのみで、オーバーナイトでのギャップアップ/ギャップダウンのリスクを避けることができます。
しかしながら、取引時間中のニュースなどにより、取引が中断されて決済取引ができなかったり、想定外の大きな株価変動となったりして、投資元本以上の損失が生じることもあり得ます。
このため、レバレッジを低めに抑える、投資資金とは別に生活に用いる資金を確保する、信用取引にかかるコスト(当社では信用取引手数料は完全無料ですが、金利、貸株料、その他名義書換料等の諸経費がかかります)をあらかじめ認識しておく、といった準備が重要です。

逆指値注文による損失限定法

逆指値注文(ストップ注文)は損失を限定する有力なツールです。
トレードを始めるときには誰しも収益をあげる期待を抱いています。
しかし、想定と逆方向に株価が動いて損失が出はじめると、反対売買(決済取引)を行って損失を確定したくないという感情が出てしまいがちです。
そこで、取引開始時点で予め一定以上の損失が生じたら反対売買(決済取引)を行う逆指値注文を出しておくことで、機械的に淡々と損失を確定する取引を行うことができます。
この際、逆指値注文の水準を決める方法には、7%や10%といった固定値を用いる、取引対象の値動き(ボラティリティ)によって5%(値動きが少ない銘柄)、10%(値動きが大きな銘柄)とグループ分けする、テクニカル分析(ボリンジャー、フィボナッチ、ATR等)によって設定するなど様々な方法があります。
迷うようであれば、最初は10%程度の固定値から(国内株の場合)始めてみるのも一案です。

適切なレバレッジ倍率設定

信用取引で最大約3.3倍のレバレッジ投資ができるからといって、目一杯リスクをとる必要はありません。
投資の目的、投資経験、投資資金の量やリスク許容度によって、望ましいレバレッジのかけ方は異なります。
信用取引を使い始めたばかりの初心者は、低めのレバレッジから始めることがおススメです。
取引を行う上で適切なレバレッジの水準は、ストレスを感じず、負担にならないレバレッジが、その方にとっての適切なレバレッジの目安と言えます。
例えば、レバレッジが1倍なら保証金預託率は100%、2倍でも50%となるので、追証が発生する20%までにはかなり余裕があります。
追証をロスカットの目安に使う上級者はともかく、追証が発生するような状況は投資初心者には大きなストレスがかかり、冷静な投資判断が難しくなりがちです。
このため、投資初心者は1倍~2倍のレバレッジに留めて信用取引を使うと良いでしょう。
一方、投資経験が豊富なデイトレーダーであれば、最大の約3.3倍でも使いこなすことができるでしょう。

追証(追加保証金)対策

建玉の評価損の拡大や、代用有価証券の値下がりなどにより、保証金預託率が20%の最低維持率を下回った場合、追加で保証金預託率を30%に戻すまでの保証金を差し入れる必要があります。
この追加で求められる保証金のことを追証(おいしょう)または追加保証金と呼びます。
追証が発生した場合、翌々営業日の12:00までに、追証以上の現金を入金するか、建玉の一部または全部を返済することによって保証金預託率を30%以上にして、追証を解消しなければなりません。
追証を期日までに解消できない場合は、全建玉が強制返済されます。
追証による強制決済を避けるためには、保証金預託率の推移に留意し、①レバレッジを抑える、②損切水準をあらかじめ決めておいて遵守する、③資金に余裕をもたせた投資を行う、といった対応が必要です。
※追証のルールは証券会社によって異なる場合がございますので、必ずご利用前にご確認ください。

過度な売買によるデメリット

デイトレードは取引回数に制限がなく、取引回数が過度になりがちです。過度な売買は「価格変動リスク」をはじめ、市場流動性リスク、心理的負荷リスク、そしてシステム障害リスクまでも同時に引き上げる可能性があります。例えば出来高が少ない銘柄や夜間取引で大量の成行注文を出すと、取引板が一瞬で枯渇し想定外の価格で約定する場合もあります。さらに、高速売買を支えるPCやネットワークに想定外の遅延が生じた場合、わずか数秒のフリーズでもトレードシナリオは崩壊し、損失は膨らみます。したがって、分散投資、低レバレッジ運用、そして事前に決めた損失許容ラインで機械的にポジションを解消するリスクマネジメントが不可欠となります。

金利と税金

信用取引で買建てた場合、借りる資金に対して金利が発生します。また、売建てた場合は貸株料がかかります。
なお、新規建てした翌日に決済をした場合でも、実際に株券の受渡しが行われる暦日ベースで金利が計算されます。
受渡日は約定日の2営業日後になるので、約定日と受渡日の間に土日祝日などの取引が行われていない日が含まれている場合は、その期間も金利または貸株料が発生することになります。
また、新規建てした当日に決済した場合でも1日分の金利または貸株料が発生します。
信用取引の税金は、特定口座(源泉徴収あり)で取引されていれば、損失を翌年以降に繰り越したり、一般口座の取引と損益通算したりする場合などを除いて原則として確定申告は不要です。
特定口座(源泉徴収無し)または一般口座の場合は確定申告を行う必要があります。

信用取引の金利計算方法

30万円の委託保証金を用いて100万円分の信用買いを行った場合の金利計算例は以下のようになります。

  1. 30万円の現金を委託保証金に100万円の株式を信用買いした(当社の信用取引手数料はいつでも無料)
  2. 土日を挟んで8日間保有したら、100万円の株式が105万円と5%上昇したので、反対売買の信用売りを行って決済した
  • 金利8日分・・・100万円×2.30%(年率)÷365×8日 =504円(円未満切捨て)
  • 8日間の損益・・・105万円-100万円-金利504円=49,496円(税金は考慮しておりません)
  • ※当社の信用取引手数料はいつでも無料
  • 信用金利が安い証券会社(SBIネオトレード証券など)を利用する
  • デイトレードに徹し、週末、祝日は信用取引の残高を持たない
  • 長期間に亘って信用買いポジションを維持する場合は現引を検討する
※証券会社によって信用取引金利は異なります。当社では信用取引手数料完全無料に加えて、大手ネット証券最安水準の制度信用取引の買方金利・貸株料を提供しています。

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デイトレーダーの税金対策

株式の利益は、譲渡所得に分類され申告分離課税を選択することができます。
特定口座(源泉徴収あり)で損失を繰り越す場合やほかの証券会社や一般口座などとの損益通算を行う場合を除いて、基本的に確定申告は不要です。
一方、特定口座(源泉徴収無し)や一般口座での取引については確定申告が必要になります。
デイトレーダーは取引件数が多くなりがちなことから、金利や諸経費、配当落調整金まで含めて証券会社で税金の計算を行ってくれて原則確定申告が不要となる特定口座(源泉徴収あり)を利用することで、税金に関する手間を大きく減らすことができます。

デイトレーダーの視点からみた税金に関するポイント

  • 特定口座(源泉徴収あり)で売却益が生じた場合については、確定申告の必要なし
  • 一般口座で売却益が生じた場合、及び特定口座(源泉徴収なし)で売却益が生じた場合は確定申告が必要
  • 2つ以上の特定口座(源泉徴収あり)で売却益と売却損が発生した場合、または特定口座(源泉徴収あり)で売却益かつ一般口座で売却損が発生した場合、確定申告を行うことで源泉徴収された所得税の全部または一部の還付を受けることができる
  • 年間の株式の売却について売却損が生じた場合は、確定申告の義務はないが、確定申告を行うことで、当該損失を翌年以降3年間繰り越しすることができ、翌年以降の利益と相殺ができる
  • 取引件数が多いデイトレーダーは、確定申告を行う場合でも特定口座を使うことによって特定口座年間取引報告書の集計結果を利用して作業を省力化できるメリットが大きい
  • NISA口座での取引は、結果として短期取引となった場合においても非課税

※税金についての詳細は、お近くの税務署や税理士等の税務の専門家にお問い合わせください。

まとめ

デイトレードはオーバーナイトリスクを負わないのでリスク管理がしやすい投資手法です。
また、信用取引でデイトレードを行えば、レバレッジ取引ができる、同一資金で同じ銘柄の売買が同日中に何度でもできる、信用売りで下落相場も収益機会にできるといったメリットを活かすことができます。
一方で、リスクをしっかりと把握し、特に取引が過度なものとならないように注意する必要があります。

信用取引研究所
国内株式信用取引のお取引に関するリスク及び手数料等について

信用取引は委託保証金の約3倍までのお取引ができるため、株価等の変動により委託保証金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。

信用取引の取引手数料は無料ですが、買方金利、貸株料、品貸料(逆日歩)、信用取引管理料、信用取引名義書換料等の諸経費が必要です。

また、信用取引の委託保証金は売買代金の30%以上かつ30万円以上の額が必要です。

実際のお取引に際しては、契約締結前交付書面および当社ホームページ等をよくお読みになり、お取引の仕組み、ルール等を十分ご理解の上、お客様ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

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