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信用取引で空売りを行う際に発生する「貸株料」は、売建時にかかるコストのひとつです。本記事では、貸株料の基本的な仕組みから計算方法、貸株サービスや逆日歩との違いなどについて投資初心者にもわかりやすく解説します。
貸株料とは?信用取引のコストの基本
貸株料とは、売建をする際に証券会社から株を借りるための借り賃で、保有日数に応じてかかるコストです。
貸株料率は証券会社によって異なりますが、当社の場合は、売建玉の約定代金に対して年率1.1%となります。
逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、株の需給バランスが崩れて市場で株不足が起きたときに発生する追加的なコストです。
本来は株を借りる側が支払いますが、需給状況によって発生しない場合もあります。
株不足が深刻になると、逆日歩が高額になることも。
一般的に買い方が支払い、売り方が受け取る仕組みです。
貸株サービスとは、自分が保有している株式を証券会社を通じて他の投資家や金融機関に貸し出す仕組みです。
貸し出した株は一定の条件下で返却され、その間の貸出対価として金利(貸株料)を受け取ることができます。
このサービスは、提供している金融機関で任意に利用することが可能です。
まとめ
| 貸株料 |
|
|---|---|
| 逆日歩 (ぎゃくひぶ) |
|
| 貸株サービス |
|
貸株料の基本的な仕組みと目的
貸株料とは、信用売り(空売り)を行う際に、証券会社から株を借りるために発生するコストです。
投資家が株価の下落を見込んで空売りをする場合、実際には自分が持っていない株を売るため、証券会社から株式を借りる必要があります。
貸株料は株の借り手が証券会社に支払うもので、空売りのコスト要因の一つです。
「貸株サービス」との違い
信用取引の貸株料と貸株サービスの貸株料は、仕組みや目的が大きく異なります。
信用取引では、空売りを行うために証券会社から株式を借りる必要があり、その際に発生するのが貸株料です。
これは投資家が支払うコストであり、売りポジションを保有している期間中に発生します。
一方、貸株サービスは、投資家が自分の保有する株を証券会社に貸し出すことで、その対価として(証券会社から)株を貸した期間に応じた貸株料(金利)を受け取ることができるサービスです。株を保有・運用しながら、貸出で利息を得る目的で活用されます。
つまり、信用取引の貸株料は「株を借りるために支払う費用」、貸株サービスは「株を貸して受け取る報酬」であり、立場も資金の流れも逆になります。
| 貸株料(支払う) | 貸株サービス(受取る) | |
|---|---|---|
| 利用者 | 信用売り(空売り)をする投資家 | 現物株を保有している投資家 |
| 目的 | 株式を持っていない状態で売却(空売り)をするため | 保有株を有効活用して、利回りを得るため |
| 仕組み | 証券会社や証券金融会社から株を借り、その対価を支払う | 証券会社に株を貸し出し、貸し出し先からの貸株料を受取る |
| 株主の権利 | なし | 原則、受取ることができる |
| リスク | 空売りなので株価上昇で損失が発生するリスク | 借り手の信用リスク(貸株の返却遅延など) |
| 利用者 | 信用売り(空売り)をする投資家 | 現物株を保有している投資家 |
|---|---|---|
| 目的 | 株式を持っていない状態で売却(空売り)をするため | 保有株を有効活用して、利回りを得るため |
| 仕組み | 証券会社や証券金融会社から株を借り、その対価を支払う | 証券会社に株を貸し出し、貸し出し先からの貸株料を受取る |
| 株主の権利 | なし | 原則、受取ることができる |
| リスク | 空売りなので株価上昇で損失が発生するリスク | 借り手の信用リスク(貸株の返却遅延など) |
「逆日歩(品貸料)」 との違い
貸株料と逆日歩(品貸料)は、どちらも株の貸し借りに関わるコストですが、発生条件や相手先が異なります。
貸株料は、信用取引で空売りを行う際に証券会社から株を借りる投資家が支払うコストで、売りポジションを保有している期間中は基本的に常に発生します。
つまり、株を借りている限り、一定の貸株料が日割りでかかる仕組みです。
一方、逆日歩は証券会社において売建株(空売りの需要)が買建株(供給)を上回った場合に発生します。
これは証券金融会社が不足分の株を機関投資家などから調達する際にかかる追加の借り賃で、通常の貸株料に上乗せされる特殊なコストです。
逆日歩の相手は株を貸す他の投資家であり、証券会社とは異なります。
したがって、貸株料は証券会社に支払う日常的な費用、逆日歩は株不足が起きた際に発生する追加費用という違いがあります。
貸株料の計算方法を3つのステップで解説
前述のように、貸株料は、信用取引で株を借りている期間(売りポジションを保有する期間中)に発生するコストです。このコストは、「約定代金×貸株料率÷365日(1年)×日数」という計算式で算出されます。
借りた株の金額に貸株料率を掛け、借用期間(日数)に応じて按分するという意味になります。計算には以下の3つの要素が必要です。
- 約定代金(借りた株の購入価格×株数)
- 貸株料率(証券会社が定める年率)
- 借用期間(株を借りている日数)
STEP1:計算式と貸株料率
前述の計算式「約定代金×貸株料率÷365日(1年)×日数」について、具体的に見ていきます。
約定代金とは、借りた株の購入価格に株数を掛けた合計金額で、貸株料率は証券会社が定める年間の貸株料の割合です。
日数は株を借りている期間を示し、365で割ることで年率を日割りに換算しています。
例えば、約定代金が300万円、貸株料率が年1.1%、借用期間が10日の場合、貸株料は、300万円×0.011÷365日(1年)×10日≒904円となります。
他にも、
- 約定代金500万円、貸株料率1.1%、期間30日 → 約4,520円
- 約定代金1,000万円、貸株料率1.1%、期間180日 → 約54,246円
STEP2:日数の数え方(両端入れ)
貸株料の計算で使う借用期間(日数)は、新規建ての注文の受渡日から決済の受渡日までの両方を数える「両端入れ」の方法により計算されます。
これは、借り始めた日と返した日、両方の日数を含める数え方です。
なお、売建(買建)した翌日に返済をした場合でも、実際に株券の受渡し日で貸株料(金利)が計算されるので、約定日と受渡日の間に土日祝日が含まれている場合は、その間も貸株料(金利)が発生します。
なお、日計り取引の場合でも1日分の金利が発生します。
STEP3:支払いタイミング
貸株料の支払いタイミングは一般的に返済(決済)の都度に貸株料が差し引かれます。
貸株料は、株を借りている期間に応じて計算され、証券会社のルールに基づき清算されるため、取引開始直後に即座に引き落とされるわけではありません。
具体的な支払い方法は利用している証券会社の説明を確認することが重要です。
貸株料を安く抑える方法
貸株料を安く抑えるためには、「証券会社選び」と「保有期間の短縮」が重要です。
方法①:貸株料率が低い証券会社を選ぶ
貸株料を安く抑えるためには、証券会社によって貸株料率が異なるため、低料率の証券会社を選ぶことがコスト削減のポイントです。
| SBIネオトレード証券 | 松井証券 | 三菱UFJ eスマート証券 | マネックス証券 | 楽天証券 | SBI証券 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 貸株料(制度) | 1.10% | 1.15% | 1.15% | 1.10% | 1.10% | 1.10% |
| 貸株料(制度) | 1.10% | 1.15% | 1.15% | 1.10% | 1.10% | 1.10% |
|---|
※当社と比較を行う対象は主要ネット証券5社となります。
※主要ネット証券とは、ネットでの売買を主とする証券会社の内、売買代金上位5社のSBI証券、楽天証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券、マネックス証券(順不同)を指します。(2025年9月30日 当社調べ)
※各社の大口取引優遇や期間限定のキャンペーン等は条件が異なる為、掲載しておりません。
※金利は、2025年9月30日時点当社調べ
貸株料は、料率がわずかに異なるだけでも、取引金額や株を借りる期間によってコストに大きな差が生まれます。
例えば、約定代金500万円の株を信用売りで借り、100日間保有した場合を比較してみます。
500万円×0.011÷365日(1年)×100日≒15,068円
500万円×0.015÷365日(1年)×100日≒15,753円
この2つの差額は約685円。
一度の取引では小さな金額に見えるかもしれませんが、取引金額が大きい場合や取引回数が多い場合、さらに保有期間が長期に及ぶほど、この差は拡大し、最終的なコストに大きく影響してきます。
方法②:保有期間を短くする(短期売買)
貸株料は株を借りる期間(日数)に応じて発生するため、保有期間が短いほどコストは低く抑えられます。
例えば約定代金500万円・貸株料率1.10%で比較すると、デイトレード(1日)の貸株料は約150円、スイングトレード(5日)では約753円となり、5日間で5倍以上のコスト差が生じます。
日数が増えるほど費用も比例して増加するため、短期売買を基本とすることで貸株料を効果的に抑えることができます。
とくに売建を繰り返す投資スタイルでは、こうしたコスト意識が利益率に大きく影響します。
保有期間を短くすることは、貸株料の節約につながる実践的な手法です。
信用取引のその他費用
信用取引にかかるその他諸経費は以下のとおりです。
| 買方金利 | 信用取引で株を買う際に、証券会社から資金を借りて取引するため、その借入資金に対して発生する金利 |
|---|---|
| 売買手数料 | 信用取引の新規建てや返済注文を行う際に、証券会社に支払う取引手数料 |
| 逆日歩(品貸料) | 証券金融会社において売建株が買建株を超過して株不足が発生した場合、その不足分を機関投資家等から調達する際の借り賃。売り方が支払い、買い方がこれを受取る。 |
買方金利(信用買いの場合)
これまで信用売りの際に発生する貸株料について説明しましたが、信用買いの場合には「買方金利」が発生します。
信用買いとは、証券会社から資金を借りて株式を購入する取引であり、この借入資金に対して買方金利がかかります。
買方金利も貸株料と同じく年率で設定され、資金の借入期間(株の保有期間)に応じて日割りで計算されます。
計算式は「借入金額×買方金利率÷365日(1年)×日数」で求められ、買いポジションを保有している期間中に発生するコストです。
一方、貸株料は信用売り(空売り)で株を借りている期間に発生する費用であり、発生条件が異なります。
つまり、買方金利は信用買いの資金借入コスト、貸株料は信用売りの株貸借コストとして、それぞれ異なる役割を果たしています。
売買手数料
信用取引では、新規建てや返済の注文ごとに証券会社へ売買手数料を支払う必要があります。
手数料は証券会社や取引コースによって異なり、取引金額や回数に応じてコストが変動します。
当社では、信用取引手数料はいつでも無料【0円】です。
なお、近年では当社を含む多くのネット証券が信用取引の売買手数料を無料化しており、投資コストの低減に繋がっています。
無料の証券会社一例:SBI証券、楽天証券、松井証券など (無料化に一部条件がある場合もございます)
まとめ
貸株料は、信用売り(空売り)を行う際に証券会社から株式を借りるために発生するコストで、保有期間と約定代金に応じて日割りで発生します。
逆日歩とは仕組みや発生条件が異なり、コストとしての性質も異なります。
貸株料の負担を抑えるには、料率の低い証券会社を選ぶことや、保有期間を短くすることが有効です。
計算方法や支払いのタイミングを正しく理解し、信用取引におけるコスト意識を高めることで、効率的な運用が実現できます。
よくある質問
貸株はいつでも売れますか?
基本的にいつでも売却が可能です。詳細については、各証券会社へお問い合わせください。
信用取引の貸株料はいつ払うのですか?
貸株料は、建玉を返済した日に当日分までの貸株料が確定し、売買損益と合わせて精算・支払われます。
なお、建玉を作成した日と返済した日、それぞれの受渡日(約定の2営業日後)を含む「両端入れ」で計算されます。
※当社と比較を行う対象は主要ネット証券5社となります。
※主要ネット証券とは、ネットでの売買を主とする証券会社の内、売買代金上位5社のSBI証券、楽天証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券、マネックス証券(順不同)を指します。(2025年9月30日 当社調べ)
※各社の大口取引優遇や期間限定のキャンペーン等は条件が異なる為、掲載しておりません。
※金利は、2025年9月30日時点当社調べ
