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信用取引の未決済残高のことを建玉(たてぎょく)またはポジションといいます。
信用取引の残高はいずれ決済されて無くなる性質のものです。銘柄毎の信用残高や買い残と売り残の比率を表す信用倍率は、他の投資家が信用取引でどういう建玉(未決済残高)を持っているか知ることができる有益な情報です。
建玉(たてぎょく)とは?信用取引の基本を解説
株式投資経験が長いベテラン投資家は「建玉」という言葉をごく普通に使います。
難しそうに聞こえますが、信用取引で決済されていない残高のことを意味する専門用語になります。ここでは、以下の項目を説明します。
建玉の基本的な意味と読み方
信用取引における未決済残高(ポジション)を建玉(たてぎょく)といいます。
玉(ぎょく)とは、株式、先物取引やFXなどにおいて持ち高を意味する専門用語です。
一説として芸者へのご祝儀を玉代(ぎょくだい)と呼んでいたことが語源とされています。
ポジションを作ることを「建てる」と言い、その建てたポジションが「建玉」となります。
これに派生して、買い残高は買い建玉、売り残高は売り建玉と呼ぶこともあります。
ちなみに、現物株も含めて株式全般を意味するものとしても「玉」が使われることもあり、「冷やし玉」(IPOなどで引受証券会社などが相場の過熱を抑えるため株式の売りを出すこと)や「見せ玉」(約定する意志のない注文を出し、取引が活発だと見せかける法令違反行為)といった使われ方をします。
なお、信用取引の場合、各証券会社が建玉限度額(建玉上限)と呼ばれるポジション総量の上限を定めていて、仮に委託保証金(信用取引の担保)が十分にあってもそれ以上の建玉を持つことはできません※
※SBIネオトレード証券の総建玉限度額は20億円で、1銘柄当たりの限度額は10億円です。申請によって個別審査を経て総建玉限度額の引き上げが可能な場合があります。
ご希望の際は、当社カスタマーサポートまでお問い合わせください。
買い建玉とは?
信用取引で新規の買い(信用買い)を行うと、保証金の最大約3.3倍の金額まで株式を購入することができます。
この時のポジションを買い建玉と呼びます。
現物とは異なり、信用取引の残高はいずれ返済(解消)しなければなりません。
制度信用取引の場合は6ヵ月の返済期限以内に反対売買の売り(転売)を行うか、購入代金の全額を支払って株式を引き取る(現引きする)ことになります。
次図は信用買いの損益を例示したものです。
株価が100万円で信用買いした場合、①の緑色線のケースでは株価が110万円に値上がりし、転売価格110万円-買い建値100万円=10万円の利益※となりました。
一方、②の赤色線のケースでは返済時点で株価が90万円に値下がりしていました。
この結果、転売価格90万円-買い建値100万円=10万円の損失※となりました。
※金利、諸費用等を除く、SBIネオトレード証券は信用取引手数料無料
売り建玉とは?
信用売り(空売り)では、証券会社から株式を借りて売建(売却)します。
その後、株式を買い戻して借りていた株式を返済(返却)して、その差額で収益を狙います。
狙い通り株価が下落すれば、先に高く売って後から安く買い戻すことになるので収益が得られます。
一方、予想に反して空売りした株が上昇した場合は、安く売って高く買い戻すことになり、損失が生じます。
個人投資家にとって空売りは現物取引ではできないことを可能にする取引ですので、株価が下落するという相場観から収益を生み出すことができる信用取引ならではの手法といえます。
信用売りでは委託保証金を担保に最大約3.3倍までの金額の株式を証券会社から借りて空売りすることができます。
ただし、信用売りした売り建玉は期限以内(制度信用は原則6ヵ月)に買い戻して株式を返却(返済買い)しなければなりません。
なお、すべての銘柄で信用売りができるわけではありません。
次図は信用売りの損益を例示したものです。
株価100万円で信用売りした場合、①の水色線のケースでは株価が90万円に値下がりし、売り建値100万円-買戻し価格90万円=10万円の利益※となりました。
一方、②のオレンジ色線のケースでは返済時点で株価が110万円に値上がりしていました。この結果、売り建値100万円-買戻し価格110万円=10万円の損失※となりました。
※金利、諸費用等を除く、SBIネオトレード証券は信用取引手数料無料
建玉評価損益とは?
信用取引の建玉の評価損益のことを建玉評価損益といい、評価時点の株価をもとに建玉単価との差額を計算します。
前日までの諸経費を含めて表示している証券会社が多いようですが、概算評価損益として諸経費※を含めずに表示していることもあります。
なお、SBIネオトレード証券では、次の計算式で前日分までの諸経費を差し引いて評価損益を表示しています。
買い建玉: {(評価時点の株価 - 買い単価)×株数} - 諸経費※
売り建玉: {(売り単価 - 評価時点の株価)×株数} - 諸経費※
※諸経費は前日分まで。SBIネオトレード証券では信用取引手数料無料
なお、評価損益がマイナスになると、その分は委託保証金から差し引かれます。
建玉の返済方法と管理のポイント
信用取引の建玉の返済方法には反対売買と現引き・現渡しがあります。以下、反対売買、現引きと現渡しについて説明します。
| 反対売買 | 買建ての場合は売り(返済売り又は売却若しくは転売と言います。以降は転売と記載)、売建ての場合は買い(返済買いまたは買戻しと言います) |
|---|---|
| 現引き(げんびき) | 建玉の建代金全額を支払い、現物株式のポジションにすること |
| 現渡し(げんわたし) | 売建玉に対して保有している同数の現物株を引き渡して返済すること |
建玉の返済方法①~反対売買~
信用取引の建玉は期限内に返済する必要があり、その返済方法には反対売買と現引き・現渡しがあります。このうち最も多く用いられるのが反対売買です。反対売買とは文字通り、新規にポジションを建てた時と反対の取引を行うことです。
信用買いを行って買い建玉となっている場合には、反対売買の売り(転売)を行います。
その際の損益は、(転売時の単価-買建値)×株数となります※。
信用売りを行って売り建玉となっている場合は、反対売買の買い(買戻し)を行います。
この場合の損益は、(売建値-買戻し時の単価)×株数となります※。
※この他に金利などの諸経費がかかります。SBIネオトレード証券では信用取引手数料無料です。
※発注の際に、返済ではなく新しく建玉を作ってしまった場合、買いポジションと売りポジションを同時に持つ両建てとなりますので、ご注意ください。
建玉の返済方法②~現引き・現渡し~
建玉の返済は現引き・現渡しで実施することもできます。
現引き(品受け)とは信用買い(買建)を行った際の価格(建値)×株数に諸経費を加えた金額を支払って、信用買いした株式を現物株として引き取ることです。
これにより、総代金(建代金全額)の支払いが必要になりますが、信用取引のポジションが現物株に変わるので、返済期限を気にせずに保有し続けることができます。
一方、現渡し(品渡し)は信用売りを行って売建玉に対して、現物株で同数を証券会社に渡し、(売建値×株数)から諸経費を差引いた現金を受取ることです。
現物株を保有していなければ現渡しはできませんが、現物保有株の価格下落ヘッジのために信用取引のつなぎ売りを用いるような場合には現渡しが多用されます。
現引き、現渡しのメリットとデメリットは以下の表となります。
なお、SBIネオトレード証券では、発注した現引き・現渡し注文は、発注後キャンセルができませんのでご注意ください。
| 現引き | 現渡し | |
|---|---|---|
| 利用する場面 | 買建玉の決済 | 売建玉の決済 |
| メリット |
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| デメリット |
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|
※1 SBIネオトレード証券の場合
建玉を持つメリット・デメリット
建玉を持つ=信用取引を利用するメリット・デメリットは以下の通りです。
建玉を持つメリット
- レバレッジ効果で資金効率が向上する
- 下落相場でも利益を狙える
建玉を持つデメリット
- 金利や貸株料などのコストが発生する
- 価格変動リスクが増加する(追証発生リスクを含む)
メリット①:レバレッジ効果で資金効率が向上する
信用取引では、現金や株式等を証券会社に担保(代用有価証券)として預けて、株式の購入資金を借りて信用買いを行う(買建)、あるいは株式を借りて信用売り(空売り、売建)を行うことができます。
信用取引の担保として預けた現金や株券等の評価額を委託保証金と言い、委託保証金の最大約3.3倍までの売買を行うことができます。
この時、預けた資金以上の取引ができるので、「てこの原理」にたとえてレバレッジ(てこ効果)と呼びます。
取引例)
①現金で30万円を委託保証金として預け入れます。
②これを担保に100万円の信用買いを行います(新規の買建て)。
③証券会社内に100万円の信用買いポジション(買い建玉)ができました。
この計算例では30万円の資金で100万円の信用買いを行ったので、約3.3倍のレバレッジ取引となりました。なお、信用取引は制度信用と一般信用がありますが、レバレッジに関しての違いはありません。
メリット②:下落相場でも利益を狙える
現物取引では、まず株式を購入して、その後売却して収益を狙います。
一方、信用取引では買いから始めることも売りから始めることもできます。
信用買いは通常の現物取引のように買いから始めて、返済売り(転売)で取引が終了します。
一方、信用売りは、保有していない株式を売って(空売りして)から、それを買い戻して返済し、取引を終了します。
信用売りでは売り⇒買いという順になるため、新規の売建て後に株価が下落すると収益を得ることができます(貸株料、手数料等を除く)。
また、信用取引では最大約3.3倍までのレバレッジ取引が可能です。
デメリット①:金利や貸株料などのコストが発生する
SBIネオトレード証券の信用取引で発生する主なコストには以下のようなものがあります( 2025/8/29時点)。
なお、これらのコストは保有期間が長くなるほどコストが増えます。
| コストの種類 | 内容 |
|---|---|
| 信用取引手数料 | SBIネオトレード証券では完全無料 |
| 買方金利 | 制度信用2.30%(別途優遇金利あり) 一般信用2.75% |
| 貸株料 | 1.10% |
| 逆日歩(品貸料) | 発生時に買い方は受取り、売り方は支払い |
| 名義書換料 |
|
| 取引管理料(事務管理費) |
|
デメリット②:価格変動リスクが拡大する(追証のリスク)
信用取引では最大約3.3倍までのレバレッジ取引が可能で、少ない資金でも大きなリターンを狙うことができます。一方で、損失が大きくなる可能性もあります。
例えば30万円の資金で100万円の株式を信用買いしたとします。10%値下がりして諸経費控除前で10万円のマイナスだとすると、自己資金30万円で考えると-33%の損失となってしまいます。
建玉を保有するのに最低限維持しなければいけない水準がございます。これを委託保証金率といい当社の場合は、20%が水準となっております。建玉の評価損の拡大や、代用有価証券(株式等の担保有価証券)の値下がりなどにより、委託保証金率が20%を下回った場合、追加で委託保証金率を30%に戻すまで保証金を差し入れる必要があります。この追加で求められる保証金のことを追証(おいしょう)と呼びます。追証の判断は大引け時点の資産状況によって判定され、当日の委託保証金率が20%未満の場合に追証が発生します。追証を期日までに解消できない場合は、全建玉が強制返済されます。
追証による強制決済を避けるためには、委託保証金率の推移に留意し、①レバレッジを抑える、②損切り水準をあらかじめ決めておいて遵守する、③資金に余裕をもたせた投資を行う、といった対応が必要です。
※追証のルールは証券会社によって異なる場合がございますので、必ずご利用前にご確認ください。
建玉に関連する公開情報の見方
信用取引を利用する投資家の買い残、売り残を合計したものが信用残高(信用残)です。取引所が集計・公表している銘柄ごとの信用残高は、投資家の今後の行動を示唆する場合があり、その買い残と売り残の比率を表す信用倍率もしっかり見ておく必要があります。
以下、信用残高と信用倍率について説明します。
信用残高(買い残・売り残)とは?
信用残高とは、投資家が信用取引で株式を買建てまたは売建てし、まだ返済されていない株式の残高の総量を指します。
信用取引の買い残は、将来的な値上がりを期待して投資家が証券会社から資金を借りて株を購入した未決済の残高のことで、潜在的な売り圧力です。
売り残は将来的な値下がりを予想して投資家が証券会社から株式を借りて株を売却(空売り)した未返済の残高で潜在的な買い圧力です。買い残と売り残の合計が信用残高となります。
信用取引では、通常の場合は買い残が売り残よりも多くなっています。しかし、極端に買い残が売り残に比べて多い場合は、反対売買の売り(転売)による潜在的な売り圧力が高まっている状態と言えます。
特に制度信用で売建てができない非貸借銘柄は信用倍率が極端に高くなることがあるので、株価急落に注意が必要です。
逆に、売り残が買い残よりも多い状態(信用倍率が1より大きい)場合は、売り残の反対売買(買戻し)による株価上昇圧力が強いといえます。
信用倍率とは?
信用倍率とは、取引所が週1回公表する信用取引残高(制度信用と一般信用の合計)の買い残を売り残で除したものです。
信用倍率=(制度信用の買残+一般信用の買残)÷(制度信用の売残+一般信用の売残) 信用倍率が高すぎる(買い残が極めて多い)場合は、買建ての解消売りによる急落に注意が必要です。少逆に信用倍率1倍以下では空売りの買い戻し(売り残の反対売買)で株価が上昇する、いわゆる踏み上げ相場となることがあります。
まとめ
建玉とは信用取引の未返済残高のことです。建玉の返済方法には反対売買と現引き・現渡しがあります。
また、取引所が公表する銘柄別の信用残高と信用倍率はその後の値動きのヒントとなることがあるので要注目です。
注意事項
- 信用取引をはじめるには、信用取引口座の開設が必要です。NEOTRADE Wの「信用取引」タブから信用取引口座の申込みを行ってください。
- 制度信用取引で売建てた場合、借りる株に対して貸株料が発生します。金利と同様に日数に応じて発生しますが、金利と異なり市況状況によっては逆日歩(品貸料)と呼ばれる費用が追加で発生する場合があります。また、配当金がある場合、配当落調整金を支払う必要があります。
- すべての銘柄で信用取引の売建てができるわけではありません。

