通常の板と発注板ALLの違い
従来の板サービスでは、中心値段から常に上下10本の気配のみ表示されており、表示されていない気配数量については、OVER(売り気配)とUNDER(買い気配)として合計数量のみが読み取れます。
一方、発注板ALLでは、値幅上限から値幅下限までの全ての気配を見ることができるのが大きな特徴です。また、注文の執行条件には「引指(ひけさし)」「引成(ひけなり)」という、前場引けまたは後場引けを対象とした注文がありますが、これらも従来は非表示のところ、発注板ALL上では確認することが可能です。
他には、「件数」表示機能があるため、気配ボリュームの多い板を見た時、複数の投資家の注文が集まっているのか、 それとも少数の大口投資家の注文で成り立っているのかを見極めることができ、市場の参加者動向を掴むことに役立ちます。
発注板ALLの活用事例その1 全体の気配動向から先の価格動向を予想する
従来の板画面は、いわゆる「木を見て森を見ず」とのことわざ通り、部分的な気配動向しか察知することができませんが、発注板ALLでは「森(全体)を見て木(細部)を見る」ことで、使い方によっては有効的な活用が可能になります。
SBIネオトレード証券の発注板ALLでは、全体を見るときに役に立つ機能として「グラフ」があります。(図1参照)主な活用方法として、売りまたは買いの突出している気配を見つけてから、気になる部分をクリックすることで板に該当部分の気配が表示されます。
■ 発 展
ある程度のレンジが把握できたところで、次の行動は以下のパターンが考えれます。(参考例)
【1】買いで保有している場合(利食い)
利食いの目標株価を決める際の指標として871円近辺は上値が重いと考え、それよりも手前で売りの指値を入れておく。
【2】買いで保有している場合(損切り)
このまま株価が下がってきたとしても、830円近辺は下値が堅いと考えるが、万が一抜けると一気に更なる下落が想定されることから逆指値条件をその下で設定する。
【3】買いと売り(信用の空売り)の2刀流
レンジの下限付近到達時では反発することを想定して、買いからエントリーする。一方、レンジの上限付近では売り込まれることを想定して、空売りでエントリーする。
※上記の運用方法は例であり、将来の運用成績を保証するものではありません。
発注板ALLの活用事例その2 引け注文のボリュームから終値を読む
発注板では見ることができない「引け」情報(図4)を表示させることで、買いと売りの引け注文(成行または指値)のボリュームがわかります。
「引け」は前場引けと後場引けの2回タイミングがありますが、後場に出される引け注文は相場が終わる15時丁度に処理される注文になり、終値を形成するにあたり、重要な役割を担っています。
Aは、某日の14:07現在、売りの引成注文が53,000株出ており、Bは同じく、買いの引成注文が39,100株出ていることを指し示しています。成行の数量が表示されている一つ上の数字は引指の注文と引成の注文数量の合計を表しています。仮に、このまま大引け(後場の引けのこと)を迎えた場合、終値を決める計算は以下のようになることが想定できます。
成行売り53,000株 - 成行買い39,100株 = 13,900株の売り超過
13,900株の売り - 買いの最良気配135円にある41,700株 = 残27,800株
売りと買いの成行注文の結果、売りが買いを上回るため、1円気配が食い下がり135円の指値注文を先頭から消化することになります。消化してもなお135円の指値が27,800株残ることになるので、終値は135円に落ち着くと予想できます。
■ 発 展
しかしながら、終値を予想することができるようになっただけでは何も投資成績に変化は生まれないでしょう。
予想結果を基に次の行動パターンが想定されます。(参考例)
【1】終値が現在値より高く終わると思われる場合
既に保有している銘柄を手仕舞い(決済)したいと考えているのであれば、利益を伸ばせると考え、保有を継続しつつ、引成(または引指)で売り注文を出す。
【2】終値が現在値より安く終わると思われる場合
既に保有している銘柄を手仕舞い(決済)したいと考えているのであれば、利益が減るだろうと考え、引けを待たずに現在値付近で指値を出して売り抜ける。
【3】ノーポジション(保有なし)の状態でかつ終値が現在値より安く終わると思われる場合
買いたい狙っている銘柄があれば、急いで成行で買う必要はなく、引成(または引指)で買い注文を出す。
※上記の運用方法は例であり、将来の運用成績を保証するものではありません。
発注板ALLの活用事例その3 累計表示を参考にまとめて注文をこなす
発注板ALLで表示できる機能の一つに「累計」という項目があります。(図5参照)
従来の売り気配または買い気配の隣の列に気配累計が表示されるようになり、気配ボリュームの合算が一目でわかりやすくなります。累計表示を見てどのような活用事例があるのか、見ていきましょう。
最低単元(一般的に100株)の売買をするにあたっては特段関係のないお話になりますが、ある程度まとまった株数で指値による売り買いをする際に役に立つテクニックになります。
■ 発 展
例えば、【C】の状況で1,000株を売りたいとします。買いの先頭は68,800円に200株ある状態。売り指値を68,800円に1,000株入れると、200株のみ消化され、残り800株が売り板に残ります。
【ポイント1】板に注文が残るとどうなるか?
売れ残った直後は、68,800円の売り気配先頭に800株が乗りますが、板の状況が一度変化すると買いと売りの気配状況が一変する可能性があり、最初先頭に立っていた自分の注文が劣後し出すと、そのまま売れ残るリスクに直結します。
【ポイント2】板に注文が残るとどうなるか?
最近は機械的な注文処理(いわゆるアルゴリズムトレード)も増えてきているため、例えば、気配の先頭に注文を出すという設定が存在すると、瞬間的に先頭に注文が並ぶため、自身の注文が後手に回ってしまう可能性があります。
【ポイント3】板に注文を残さずに売却するには?
上述のことから、板に残さずに売却注文を行うには、買いの気配累計が1,000株以上の価格帯で売りの指値注文を行う必要があります。現在の状況では、68,770円の気配累計が1,700株あることが瞬間的にわかるため、売りの指値を68,770円として1,000株発注すると、板に注文を残さずに発注処理が完了します。
※上記の運用方法は例であり、将来の運用成績を保証するものではありません。