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株式投資で注目されるPER・PBR・ROEは、企業の収益力や財務健全性、株価の割安度を判断するための代表的な指標です。本記事では、PERに焦点を当てつつ、それぞれの基本概念や目安、計算方法を解説いたします。
PERとは?株価の割安度がわかる指標
PERとは「Price Earnings Ratio」の略で、株価収益率のことです。
PERとは、株価と企業の収益関係を表し、企業の収益に対して株価が割高か割安かを判断するための指標となります。
| PERが示すこと | 株価の割安度 |
|---|---|
| 目安 | 一般的に15倍。企業の業種や市場環境にもよるが、基本的に同業種・同規模で比較することが一般的で15倍以上であれば割高、15倍以下であれば割安とされる。 |
| 計算方法 | PER=株価÷1株当たりの純利益(EPS) 1株当たりの純利益(EPS)=当期純利益÷発行済株式数 |
PERが示すことと目安
PERが高いと企業の収益に対して株価が割高、PERが低いと割安と判断されます。
PERの一般的な目安は15倍とされており、15倍以上であれば割高、15倍以下であれば割安とみなされます。
ただし、PERは業界や業種によって水準が異なるため注意が必要です。
例えば、2025年11月末プライム市場の平均PERは17.9倍ですが、PERが一番高い業種である情報・通信業は25.4倍、一番低い業種である海運業は5.1倍と大きな差があります※。
PERが業種ごとに異なるのは、株価に投資家の期待が反映されるためです。
株価は将来の見通しを織り込むため、成長性が高いITや半導体関連といった情報・通信業、電気機器などの業種は株価が上がりやすく、結果としてPERも高くなります。
逆に、海運業や鉄鋼業といった市場の景気に影響されやすい業種、電気・ガス業などの安定した収益はあるものの成長期待が少ない業種はPERが低い傾向にあります。
PERの計算方法
PERは、株価÷1株当たりの純利益(EPS)で算出されます。
1株当たりの純利益(EPS)は当期純利益÷発行済株数の式で求めることが出来ます。
ここでは、(7203)トヨタを例に出して説明します。
純利益※:1.7兆円(25年9月中間決算実績値)、発行株数:約157憶株、株価:3,000円
まず、1株当たりの純利益(EPS)を算出するため、中間期の利益を年換算して3.4兆円とします。
これを発行株数割るとEPSは約216円となります。
次にPERは株価÷1株当たりの純利益(EPS)で求められるため、3,000円÷216円≒13.9倍となります。
※引用元・・・半期報告書|トヨタ自動車株式会社
PBRとは?企業の安定性がわかる指標
PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で、株価純資産倍率のことです。
PBRとは、株価が1株当たり純資産の何倍かを表し、PERと同様に株価が割高か割安かを判断するための指標となります。
PERは企業の収益から割安度を測るのに対して、PBRは企業の純資産価値から株価の割安度を測ります。
PBRの目安と見方
PBRの判断基準は一般的に1倍とされています。
PBRの基準が1倍とされるのは、株価が企業の純資産(解散価値)と等しい状態を示すためです。
純資産とは企業が持つ資産から負債を差し引いた金額を指し、仮に企業が倒産した場合に株主へ返還される価値のことです。
PBRは、「株価÷1株当たり純資産」で計算されるため、PBR1倍とは株価と企業の解散価値(純資産)が等しい状態であることを意味します。
反対にPBRが1倍を下回る場合は、「解散価値>時価総額」を意味し、企業が倒産した際株主に戻る価値よりも、会社の株価が低く評価されている状態を表します。
ROEとは?企業の収益性がわかる指標
ROEとは「Return On Equity」の略で、自己資本利益率のことです。
ROEとは、企業が自己資本を、いかに効率的に使って利益を上げているかを表す指標となります。
自己資本とは、企業の総資産のうち、株主が出資したお金などの返済する義務のない資産のことを指します。
ROEの目安と見方
ROEは「当期純利益÷自己資本×100」で算出されます。
自己資本が少なく、当期純利益が大きいほどROEの値は高くなり、ROEが高いほど企業の収益性が高いことを示します。
ROEが高い企業は、株主から預かった資本を効率よく利益に変えていることを意味します。
これは、少ない資金でも効率的に多くの利益を生み出す力が高く、投入した資本に対して得られる利益の割合が大きい経営体質と言えます。
一般的に優良企業の目安は、10%以上とされています。
投資家にとってROEは、企業の収益力や資本効率を判断する重要な指標であり、長期的に株主価値を高められる企業かどうかを判断する際に活用されます。
PER・PBR・ROEの違いと比較【一覧表】
| PER |
株価
1株当たり純利益(EPS)
|
株価の割安度 |
| PBR |
株価
1株当たり純資産(EPS)
|
企業の純資産価値 |
| ROE |
当期純利益
自己資本
|
自己資本の収益性 |
3つの指標を組み合わせた分析方法
この記事では、PER・PBR・ROEといった3つの株式評価の指標について説明しましたが、株の買付をする際に、単一の指標だけを見て企業の判断することには注意が必要です。
なぜなら、各指標は企業の一部の側面しか反映しておらず、一つの指標だけで企業全体の価値や将来性を正確に把握することはできないからです。
例えば、PERが低く一見割安に見えても、利益水準が低かったり成長性が乏しい企業では魅力的な投資対象とは言えません。
また、PBRが低くても財務基盤がぜい弱な企業はリスクが高くなります。
逆にPERが高くても将来の成長が期待できる企業や、ROEが低くても積極的な投資により将来的に収益性が上がる企業もあります。
こうしたリスクと成長性を見極めるには、PER・PBR・ROEなど複数の指標を組み合わせて総合的に判断することが重要です。
PERを活用する際の注意点
- 業種による違い
業種により平均値に偏りがあります。同業種間の比較に留めることがよいでしょう。 - 一時的な要因の影響
一時的な業績変動を大きく受ける点に注意が必要です。特別利益や特別損失が発生した際など、PERが企業の実態と乖離する可能性があります。
業種や成長段階によってPERの目安は異なる
企業のPER(株価収益率)の目安は、業種や企業の成長段階によって大きく異なります。
たとえばITやバイオなどの成長産業では、将来の利益拡大が期待されるためPERが高くなる傾向があります。
一方で、電力や鉄道などの安定産業は、成長余地が限られるためPERは比較的低くなります。
したがってPERを評価する際は、単に数値の高低を見るのではなく、同業他社との比較や業界平均との違いを確認し、その水準が適切かを判断することが重要です。
特別利益・損失に注意する
PERはEPS(1株当たり純利益)を基に算出されますが、特別利益や特別損失があると純利益が一時的に大きく変動するため、PERが実態と乖離するリスクがあります。
固定資産や有価証券の売却により特別利益が出ればEPSが膨らみPERは低下し、見かけ上割安に見えます。
反対に固定資産の売却や災害による特別損失が発生すると、EPSが落ち、PERは上昇して割高に見えることになります。
しかし、これらは通常の営業活動とは直接関係のない例外的に発生した損益があることが多く、企業本来の収益力を反映していません。
したがって、PERを見る際は単年度ではなく複数年の推移を確認し、特別損益の有無や平常時の利益水準を把握することが重要です。
まとめ
PERは株価の割安度、PBRは企業の純資産価値、ROEは自己資本の収益性を示す指標です。
それぞれ単独で企業全体を判断するには不十分で、業種や成長段階、一時的要因にも注意が必要です。
投資判断では複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが大切です。

