空売り規制とは?個人投資家に影響する条件と確認方法を解説

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株価の急激な下落を防ぐためのルールが「空売り規制」です。信用取引で売りから入る際、「自分も規制対象になるのでは」と不安に思う方もいるでしょう。実は、個人投資家による信用取引の新規売りは50単位以内であれば価格規制の適用除外とされています。
本記事では、空売り規制の仕組みや個人への影響、確認方法を分かりやすく解説します。

空売り規制とは

空売り規制とは、相場の下落局面において過度な売り注文が殺到し、株価の下落が不自然に加速するのを防ぐために金融商品取引法などで定められたルールです。市場の安定と投資家保護を目的として運用されています。

個人投資家が気になるのは「自分に関係があるか」という点ですが、個人による信用取引の新規売りは「50単位以内」であれば価格規制の適用除外とされています。そのため、一般的な少額取引を行う個人投資家が日常の取引で直接的な価格規制を受けるケースは限られています。ただし、50単位を超える大口取引を行う場合や、取引時に課される明示・確認義務など、投資家全体に関わるルールも存在するため、正しい仕組みを理解しておくことが大切です。

空売り規制の3つの柱

空売り規制は、大きく分けて「明示・確認義務」「価格規制」「残高報告義務」の3つで構成されています。
それぞれの内容と対象者は以下の通りです。

内容の概要 対象となる取引主体
1.明示・確認義務 発注時にその注文が「空売り」であるかを証券会社へ明示・確認するルール 原則としてすべての投資家(個人・法人問わず)
2.価格規制 直近の取引価格より低い価格での空売りを禁止するルール(トリガー抵触時) 50単位を超える空売りを行う投資家(個人・法人)
3.残高報告義務 発行済株式総数の一定割合以上の空売り残高を保有した際に報告・公表するルール 一定割合以上の空売り残高を保有する大口投資家等
1.明示・確認義務 発注時にその注文が「空売り」であるかを証券会社へ明示・確認するルール 原則としてすべての投資家(個人・法人問わず)
2.価格規制 直近の取引価格より低い価格での空売りを禁止するルール(トリガー抵触時) 50単位を超える空売りを行う投資家(個人・法人)
3.残高報告義務 発行済株式総数の一定割合以上の空売り残高を保有した際に報告・公表するルール 一定割合以上の空売り残高を保有する大口投資家等

条文に基づく制度の詳細については、以下のページをご確認ください。

価格規制(トリガー方式)と価格の具体例

価格規制は常にかかるわけではなく、株価が前日の終値から10%以上低い価格で約定がついた場合(トリガー条項への抵触)に適用されます。
適用中の取引条件は、直前の株価の推移(上昇局面か下落局面か)によって異なります。

  • 株価上昇局面(直近公表価格 > その前の公表価格)
    ・・・直近公表価格未満での空売りが禁止(直近公表価格と同額なら発注可能)
  • 株価下落局面(直近公表価格 < その前の公表価格)
    ・・・直近公表価格以下での空売りが禁止(直近公表価格より1円でも高い価格なら発注可能)

具体例:株価1,000円の銘柄で価格規制が適用されている場合

  • 直前の取引で株価が上がっていた場合(例:999円→1,000円)
    ・・・直近価格の1,000円未満が不可となるため、1,000円以上(1,000円、1,001円など)で空売りが可能です。
  • 直前の取引で株価が下がっていた場合(例:1,001円→1,000円)
    ・・・直近価格の1,000円以下が不可となるため、1,001円以上(1,001円、1,002円など)で空売りが可能です。

空売り残高の報告と公表

空売り規制には、市場の透明性を高めるために「空売り残高の報告と公表」の制度が設けられています。これは、特定の銘柄に対して大量の空売り残高を抱えている投資家の情報を市場に開示する仕組みです。
具体的には、同一の計算単位において空売り残高の割合が発行済株式総数の0.2%以上になった場合、投資家は証券会社を通じて取引所へ報告する義務が生じます。さらに、その割合が0.5%以上に達した場合は、取引所のウェブサイト等で公表対象となります。

なお、個人の信用売りにおいて50単位以内の取引であれば、これらの残高報告・公表の対象外となります。そのため、個人投資家が通常の範囲内で取引を行っている限り、公表義務を心配する必要は基本的にありません。ただし、非常に大きな資金を動かす大口個人投資家や機関投資家にとっては、取引手法やポジションを左右する重要なルールとなります。

個人投資家に規制がかかるのはどんなときか

個人投資家が信用取引で新規売りを行う場合、取引の規模によって受ける規制が異なります。
具体的には、50単位以内(※)であれば価格規制の適用除外とされますが、注文時に「空売りであること」を告げる明示・確認義務は取引規模にかかわらず適用されます。

自分がどちらに該当するのか、以下の条件で判断しましょう。

条件 明示・確認義務 価格規制
1回あたりの注文が50単位以内の場合 適用される
(証券会社の取引画面で「信用新規売り」を選択することで自動的に満たされる)
適用除外
(トリガー抵触中であっても指値・成行などの制約を受けずに発注可能)
1回あたりの注文が50単位を超える場合 適用される 適用される
(トリガー抵触時は価格制限に従った発注が必要)

(※)当社では、ザラバ中に発注される同一銘柄の信用新規売付注文には時間制限を設けて、当該制限時間内に発注された注文数量の合計が50単元を超える場合、50単元を超えることとなる注文は価格規制の対象として発注されます。

50単位は何株にあたるか

価格規制の適用除外基準である「50単位」とは、その銘柄に定められている単元株数(売買単位)の50倍の株数を指します。

日本の株式市場では、株式銘柄の売買単位が「100株」と定められているため、50単位は以下のように換算できます。
 100株×50単位=5,000株 

つまり、1回につき5,000株以内の信用売りであれば価格規制の適用除外となります。ただし、ETFなど売買単位が銘柄によって異なる場合があるため、取引を行う前には必ず対象銘柄の売買単位と、50単位にあたる株数を確認しておくことが重要です。

規制中に出せる注文と出せない注文

価格規制が適用されている銘柄に対して、50単位を超える空売り注文を出す場合、注文種別(指値・成行・逆指値)によって取り扱いが異なります。

指値注文 規制価格ルールに違反しない価格設定であれば受け付けられますが、直近公表価格を下回る(または以下の)指値注文はエラーとなり発注できません。
成行注文 価格を指定しないため、規制に違反する価格で約定するリスクがあります。このため、規制適用中の成行での空売り注文は受け付けられない(禁止される)のが一般的です。
逆指値注文 条件合致後に成行や不適切な指値で発注される仕様の場合、注文が不成立となったり弾かれたりするケースがあります。

注文の受取可否やシステム上のエラー表示などの具体的な取扱いは、ご利用の証券会社によって異なる場合があるため、各社の案内をご確認ください。

空売り規制が株価に与える影響

株価下落時に見かける言葉として「空売り規制」と「売り禁」がありますが、これらは制度の根拠も対象も全く異なります。
一般的に「売り禁」と呼ばれている措置の正式名称は「貸借取引の申込停止」であり、証券金融会社が株不足の解消を目的に特定の銘柄について新規の貸出を止める仕組みです。

「空売り規制」と「売り禁」の違いは以下の通りです。

空売り規制 売り禁
制度の根拠 金融商品取引法などの法令 証券金融会社(証券会社と取引を行う機関)の自主ルール
適用される範囲 金融商品取引所全体(全投資家・全証券会社) 証券金融会社を利用する信用取引(貸借取引)
規制の内容 価格規制や残高報告などのルールを適用 主に「新規の売り建て」に必要な株の貸出を停止
主な目的 過度な売り叩きによる株価下落の防止 信用取引の過熱による株不足(逆日歩高騰等)の防止
制度の根拠 発注時にその注文が「空売り」であるかを証券会社へ明示・確認するルール 原則としてすべての投資家(個人・法人問わず)
適用される範囲 金融商品取引所全体(全投資家・全証券会社) 証券金融会社を利用する信用取引(貸借取引)
規制の内容 価格規制や残高報告などのルールを適用 主に「新規の売り建て」に必要な株の貸出を停止
主な目的 過度な売り叩きによる株価下落の防止 信用取引の過熱による株不足(逆日歩高騰等)の防止

規制対象銘柄の確認方法

取引しようとしている銘柄が現在トリガーに抵触し、価格規制がかかっているかどうかは事前に確認ができます。
日本取引所グループ(JPX)の公式ウェブサイトでは、その日にトリガーへ抵触した銘柄の一覧(トリガー抵触銘柄)が毎日公表されています。

確認の手順

  • STEP 01 日本取引所グループ(JPX)のウェブサイトにアクセスします。
  • STEP 02 「株式・ETF・REIT」等の規制関連ページ(空売り価格規制に係るトリガー抵触銘柄の公表ページ)を開きます。
  • STEP 03 当日および過去のトリガー抵触銘柄一覧のファイル(PDF等)を確認します。

公表時刻の目安として、毎立会時間終了後(15:30以降順次)にその日の抵触銘柄一覧が更新・公表される運用となっています。

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まとめ

空売り規制は、株価の不自然な急落を防ぐために金融商品取引法で定められたルールです。「明示・確認義務」「価格規制」「残高報告義務」の3つから構成されていますが、個人の信用売りで50単位以内であれば価格規制の適用除外となります。
一般的な取引を行う個人投資家が過度に恐れる必要はありませんが、トリガー抵触銘柄の確認方法や注文制限の仕組みを理解し、安全な取引を心がけましょう。

よくある質問

個人投資家でも空売り規制の対象になりますか?

個人投資家であっても規制の対象になり得ます。信用取引の新規売りが50単位以内であれば価格規制の適用除外とされますが、1回で50単位を超える発注を行う場合は価格規制が適用されます。また、明示・確認義務は全員に適用されます。

空売り規制はいつ解除されますか?

トリガーに抵触して価格規制が適用された銘柄は、抵触した翌日の立会終了まで適用が継続します。その翌日(抵触から2営業日後)の取引開始時には、新たな抵触がない限り規制のない通常状態へと戻ります。

空売り規制に違反するとどうなりますか?

金融商品取引法第162条第1項(空売り規制等)に違反した場合、同法第208条の2の規定に基づき、30万円以下の過料に処される可能性があります。意図的な法令違反とならないよう、ルールを守って発注することが必要です。

注意事項

  • 信用取引をはじめるには、信用取引口座の開設が必要です。NEOTRADE Wの「信用取引」タブから信用取引口座の申込みを行ってください。
  • 制度信用取引で売建てた場合、借りる株に対して貸株料が発生します。金利と同様に日数に応じて発生しますが、金利と異なり市況状況によっては逆日歩(品貸料)と呼ばれる費用が追加で発生する場合があります。また、配当金がある場合、配当落調整金を支払う必要があります。
  • すべての銘柄で信用取引の売建てができるわけではありません。

SBIネオトレード証券WEBサイト編集チーム

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信用取引の取引手数料は無料ですが、買方金利、貸株料、品貸料(逆日歩)、信用取引管理料、信用取引名義書換料等の諸経費が必要です。

また、信用取引の委託保証金は売買代金の30%以上かつ30万円以上の額が必要です。

実際のお取引に際しては、契約締結前交付書面および当社ホームページ等をよくお読みになり、お取引の仕組み、ルール等を十分ご理解の上、お客様ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

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